2006年07月26日

【学】最先端科学を覗き見る 4

Mixi経由の社会科見学

つくばに有るKEK高エネルギー加速器研究機構の実験施設を見学させて貰った。

01パンフ02


高エネルギー物理学と言われても想像しにくいが物質の根源と宇宙の謎に挑戦する深淵な科学であるらしい。

素粒子科学素粒子物理学を中心とする最先端の巨大な実験施設。
KEKの大森先生より、
日本語としてはともかく研究者の間では「通常「素粒子科学」という用語は使いません。「素粒子物理学」と呼びます。」
とのご指摘を戴きましたので謹んで訂正させて頂きます。


02つくばmap00


日本と欧米の間で国際的な最新加速器(実験設備)建設の綱引きをやってるそうだ。

03リニアコライダーパンフ

これを日本に建設できることは基礎科学で日本が一歩も二歩も優位に立てるはず。
でも最先端科学、
それも医学のような実学でなくて基礎科学は一般庶民には馴染みもなく、理解しようにも何とも難しい。

実用から近ければ企業が躍起になって費用を注ぎ込むだろう。
でも
基礎科学は実用から遠いからこそ企業が手を出しにくい。
だからこその国家レベル、世界レベルのプロジェクトが必要となる。

これは国の命運を左右しかねない巨大なプロジェクト。
素粒子科学の分野では
なんとか実現しないとね。

で、いわばその為の世論喚起、啓蒙活動。

04リニアコライダーキャッチ


秋には一般見学会も催されるそうだ。

05一般公開チラシ


小学校は科学部だし、
大阪市立電気科学館に週末は入り浸りの
ずっと科学大好き少年ではあったけど
さすがに最先端は難しい。

でも素晴らしい。
ワクワク感がとても楽しかった。

06パンフ01


専門でもないので正確にレポートするには力不足です。
だから大雑把に整理します。
まぁホンの入り口ということで。

私と同様に子供の頃の好奇心を叩き起こされた人は、是非一般公開に。

7・8・9月の盛夏の間は
電気を市民社会に回さなきゃ、
ってことで
巨大施設は休止。

07風景


そのおかげで結構な内部まで見学できる訳です。

今回の見学箇所は以下の如し。

08つくばmap01見学全図


力不足を承知でザッとしたハナシをしますと
”水”は”H2O”って分子と考えられてますが
その分子は水素原子と酸素原子からなってます。

で、その原子は、真ん中に原子核、その周りに電子

この原子核は、さらに陽子中性子という核子で構成されています。

そしてこの核子を構成するのがクォーク
3世代6種類有ると言われています。

このクォーク電子、そしてニュートリノを併せて素粒子と言います。

この3種類の分類に合わせて施設見学は行われました。

1.電子と陽電子の衝突実験施設


電子と反対の性質で同じ質量を持つのが陽電子
物質と反物質の衝突実験です。
次の実験素材となるB中間子と反B中間子を大量に作り出す製産工場です。

パンフの案内文によると
「ここの電子・陽電子衝突型加速器(KEKB)は世界最高ビーム強度を達成し、粒子と反粒子の性質の違い(CP非対称)の解明に成果を挙げています」
とのこと。

加速器は素粒子の電気的性質を利用してエネルギーを与えていきます。
似たような原理はリニアモーターカーの駆動原理でしょうか。
で、
できるだけ長い距離を運動させて
加速すると共に性質を整えて実験に適した状態にします。

それには円形のリンクをぐるぐる回らせるのが適当なので、現在の加速器は巨大な円形をしています。

101つくばmap02電子加速器


今回はその円周4キロ程の円形リンクの
粒子の入り口にあたる富士実験室(写真1)
粒子の衝突現場でデータを採る筑波実験室(写真2)を見学させて貰えました。

現在は夏季休止中なので加速器の円形部分にも入ることが出来ました。
放射線防護の為、地下4階にあります。
稼働中はもちろん人が立ち入ることなど出来ません。
誰かが中に居たままでは稼働できないような仕組みが設けられています。
102鍵

A.富士実験室

時計回りに電子が、反時計回りに陽電子が回る仕組みです。
104富士実験室060727_01

様々な器械がそのラインに沿って設置されています。
105富士実験室060727_02

「形が違うのは役割が違うのだと思って下さい」
だそうで、
整流する電磁石の類や冷却装置、加速装置などがギッシリと並んでいます。
107富士実験室060727_04

高速運動で生じる光子との干渉を打ち消す必要から、光電効果による電子雲対策のため、とのことで陽電子のラインの方が仕組みが複雑でした。
110富士実験室060727_07

KEKの大森先生より上記訂正部分の概念の誤りについてのご指摘及び以下のご教示を戴きましたので、謹んで訂正させて頂くと共に、ご教示部分を掲載させて頂きます。
ご指摘・丁寧なご教示有り難う御座いました。>大森先生
---------------------------------------------
陽電子のラインには、コイルがグルグル巻かれています。
このコイルは、偏向磁石、収束磁石、加速空洞などの加速器の主要構成要素が無い部分に、可能な限り隙間無く巻かれています。
一方、電子のラインは主要構成要素が無い部分は、ただの真空パイプです。このコイルの存在のために陽電子のラインは電子のラインより複雑です。
このコイルはビーム(この場合は陽電子)の進行方向に弱い磁場をかける為のものです。これは大電流の陽電子加速器に特有な「電子雲問題」に対処する為のものです。

以下この「電子雲問題」について説明します。

電子/陽電子が円形加速器のなかでカーブするときに放射光が出ます。これは電子の加速器でも陽電子の加速器でも同じです。
この放射光が真空パイプの内面にあたると、パイプの材料(金属)の中の電子を叩き出します(光電効果)。これも電子の加速器でも陽電子の加速器でも同じです。
ここから先に違いが出ます。
陽電子の加速器の場合は、この叩き出された電子群は陽電子のプラスの電荷に引かれて陽電子ビームの軌道のところに集まってきます。
この電子群(電子雲と呼ばれています)が陽電子ビームの進行を妨害します。
そこでコイルによりビームの進行方向に弱い磁場をかけます。
パイプ内面より叩き出された電子が、ビームの軌道に近づこうとすると、この磁場を横切らねばならず、磁場に邪魔されて近づけません。
またコイルによる磁場はビームに平行で、しかも弱いので軌道上の陽電子ビームには悪影響はありません。
電子の加速器の場合は、ビームはマイナスの電荷を持っているので、パイプ内面より叩き出された電子がビームに引き寄せられて、軌道上に集まる事はありません。したがってコイルを巻く必要はありません。
コイル
この写真で、その電子雲対策のコイルが示されています。

B.筑波実験室

こちらの方はいわば衝突現場に据え付けられた巨大なデジカメです。
113筑波実験室060727_001
114筑波実験室060727_002
115筑波実験室060727_003
116筑波実験室060727_004

モニタールームの中には新記録や新発見の達成を記念した酒瓶が並んでいました。
117筑波実験室060727_005
118筑波実験室060727_006

人類初ともなれば嬉しいだろうなぁ。
酒もきっとトッテモ美味い(笑)。

(おまけ)
筑波実験室の中、地下3階でしたか
大きめのミミズ程度のサイズの
ヘビの子供が紛れ込んでいました。
119ヘビ

おそらく誰かの服か機材にでもくっついて入り込んだのでしょう。

その折に最初に気付いたのは多分俺なんだけど
小さいながらも毒蛇だったし
(見たところヤマカガシかと)
どうせ稼働すれば駆除するまでもなかろうし
「それも運命」と放置してた。
でも優しい女の子が居て、掴まえて地上の草むらに逃がしてあげてました。
ふ〜む。少し考えさせられました。。。

2.ニュートリノ射出実験施設(跡)

ニュートリノは素粒子としては電子の仲間でレプトン(これの対概念がクォークに属しますが、電気的特性が+−0で他には見られない透過性を持っています。
謎の素粒子として近年研究が進み、その研究施設としては岐阜の神岡鉱山にあるスーパーカミオカンデが有名です。
その実験において宇宙から降ってくるニュートリノを待つだけでは迂遠なので人工的に射出してその特性を調べようとしました。
人工的にニュートリノを作り出し神岡方向に向けて大量に射出する装置がここに有ったのです。
201つくばmap03ニュートリノ射出施設

そのおかげでニュートリノに質量が有ることが判ったりしたのですが
更なる研究には更なる高出力が必要とのことで現在は茨城県東海村に建設中です。
202ニュートリノ060727_02

そのためこの施設は解体され、
かつてここにあった小型のカミオカンデも役目を終えて取り壊されていました。
203ニュートリノ060727_00

その前置検出器跡の側に展示施設が残されています。
204ニュートリノ060727_01

ニュートリノは核兵器を無力化できる究極のアンチ兵器も可能になる技術で(現時点ではあくまでも理論上のハナシで実用となるとイギリス全土に匹敵する巨大な電力を消費するものだそうです)、まだまだ未知の未来科学ではあります。

3.陽子加速器の前段加速器施設

301つくばmap04陽子加速器

この施設のこの設備の写真を見たときに最初の興味が湧き起こりました。
何と言っても巨大なのです。
302陽子加速器060727_04

その分といっては何だけど、利用可能性も大きく危険も大きい。
だから休止中といえども前段加速器のみの見学でした。
でもデカイ。
303陽子加速器060727_00
304陽子加速器060727_01
305陽子加速器060727_02
306陽子加速器060727_03

とってもカッコイイ。

更なる巨大出力施設は東海村の方に建設中とのことです。
307陽子加速器060727_05

4.そしてリニアコライダーへ

リニアコライダーとは直線型の加速器です。
円形の加速器は理論上無限遠の距離を運動させられますが、本来直進するものを曲げるために無駄なエネルギーロスが生じています。
それが最大出力を得るのには妨げになる。
そこで更なる科学の発展のためには直線型の加速器が必要だ、となった訳です。
全長40キロに及ぶ加速器を建設すべく
その準備や実験を行う施設を見学させて貰いました。
401つくばmap05ATF施設
402リニアコライダー060727_13


404リニアコライダー060727_01

モニタールームで簡単な説明を受けた後は直線型加速器の見学。
405リニアコライダー060727_02

本来なら地下に作るところですが
現在はあくまでも準備段階の予備実験なので仮住まいにギッシリと様々に詰め込まれています。
411リニアコライダー060727_08
412リニアコライダー060727_09.jpg
413リニアコライダー060727_10.jpg
414リニアコライダー060727_11.jpg

まるで巨大な器械生物の「はらわた」の中に潜り込んだような気分でした。
415リニアコライダー060727_12.jpg


なんかまだまだ理解の追いつかないところも多いので
きっとアチコチ間違ってると思いますが「ホンの入り口」ということでご容赦下さい。

しかし判りだすとだんだん面白くなるね。
クセになりそう(笑)。
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ruminn_master at 2006年07月26日 17:38 【学】最先端科学を覗き見るコメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加


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