2007年09月06日

【芸】第24回東西落語研鑽会 5

う〜む。「鶴瓶版 死神」は後世に残るかも。

およそ2ヶ月に1回の東西落語研鑽会

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第24回東西落語研鑽会

会 場 有楽町よみうりホール
 (ビックカメラ 7F)
日 時 2007年9月6日(木)
 午後6時00分開場 6時30分開演
木戸銭  3,800円(全席指定)
 (当日 4,000円)
主 催 六 人 の 会
  お問合せ 春々堂 筺****(引用に当たり省略)
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
※よみうりホールには障害者用のお手洗いはございません。
http://www.rakugokai.com/kensan-kai/touzairakugo.html
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[第二十四回番組]------------

林家 花 丸 「千早ふる

柳亭 市 馬 「味噌蔵

柳家 小満ん 「二階ぞめき

( 仲入り )

立川 志の輔 「三方一両損

笑福亭 鶴瓶 「鶴瓶版 死神

    お囃子 太田その社中
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[参考]
上方落語メモ【世紀末亭】
落語検索エンジン「ご隠居」
落語のあらすじ 千字寄席
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東西落語特選
招笑亭
落語の舞台を歩く


一番手の林家花丸さんは上方の林家染丸さんのお弟子さんで上方落語。
 この「千早振る」にも色々有って、江戸落語にも「千早振る」が有りますが、その上方落語版、というか、細かいところが結構自由な感じ。今回のは若々しくてそれなりに面白かった。
 まぁこのハナシ、有名すぎて普通にやっても「落語のお稽古」見せられてるようで面白くないものね(笑)。

二番手の柳亭市馬さんは前にも東西落語で見たな。「味噌蔵」も誰かで見たな。
 なんだけど市馬さん声がイイですな。江戸落語を聞いてる気がする、というか(それは当たり前だけど)演じ分けの幅が達者ですね。このハナシ、中で磯節が出てくるのだけどチャンと聴かせるし。

中トリの柳家小満んさんは更に上を行く達者な感じ。拍手や掛け声も目当ての常連さんが来ていたようだし、何だかファンサイトみたいなのもある。他にWikiはてななど。今日のパンフの解説にも「玄人好み」「落語界一の粋人」なんて書いてある。
 今日のネタの「二階ぞめき」、まるで「見てきたような」郭噺、「ぞめき」とは「騒」と書いて、連れだって郭の店先を冷やかして歩くこと、それが何より楽しみって道楽息子のハナシだけど、いろんな川柳を織り交ぜたり、江戸っ子の啖呵や粋、吉原の風情・作法に至るまで、まるで柳家小満ん師匠が実際にそこに居て体験を語ってるかのような臨場感を味わわされ、落語の持つ観客の空想力に働きかけてバーチャル体験させるパワーを感じました。
 う〜ん。たしかにこれは「芸」ですね。

仲入り明けの立川志の輔さんは毎度毎度面白くて「外れの無い」人だと思ってる。この東西落語の席では創作落語が多いけど今日は古典、講談ネタから来た「三方一両損」。
 元は講談「大岡政談」の一つということですが、それ自体が二次創作でネタ元は京都のハナシらしい
 (テレビの「大岡越前」は講談ではなく落語の方を下地にしたらしい。)
 さらにこのサイトによるとネタ元は井原西鶴ってことになってるが、井原西鶴「本朝桜陰比事」(1689)のネタ元が京都のハナシ、つまり「板倉政要」ということなので、もしかして落語は玄孫引きぐらいか(笑)。
 ネットを渉猟していたら志の輔師匠自身がこのネタについて語ってるページ(毎日新聞連載の一部らしい)も有った。
 江戸っ子、それも気の短い職人衆を描くと志の輔さん似合います(笑)。

今日の大トリは笑福亭 鶴瓶、実質ネタ降ろしだそうな「鶴瓶版 死神」。
 元は三遊亭圓朝の作った怪談話(真景累ヶ淵とか牡丹燈籠の作者だし)らしいから江戸落語新作落語ですね。
 しかしその元ネタとなるとそれだけで本が出てるぐらいヤヤコシイらしいけど、上記リンクの「千字寄席」や「死神の舞台を歩く」に依れば、グリム童話→イタリアのコミック・オペラ「クリスピーノと死神」→圓朝作「死神」だとか。
 その段階では怪談らしい落語だったのを、その後の演者がアレコレやと落とし話らしくサゲや運びを工夫してきたようです。
 それでも死神は「いかにも」「らしい」「男」であり、主人公は金に目が眩んで情けない末路となるダメ男、裏切られた死神は義理か気まぐれで一度は生かした主人公を最後は(直接ではないにせよ)殺してしまう、そういうハナシ。

 ところがこの「鶴瓶版」と銘打った「死神」、かなり大胆な換骨奪胎をしています。それがまた今までに無い「チョットいいハナシ」にしている気がします。
 呪文が「テケレッツのパ」ではない(笑)、ってだけじゃありません。
 あまり書いてしまうとネタバレしてしまうし、まだ改良していくと思うのでここでは大雑把に書きますけど、死神は複数登場し、主人公と絡むのは「若くて美しい女」、主人公はダメ男ではあるけれど、何だか許せる奴。ラストシーンでも何となく同情する気にもさせられる程。そこには鶴瓶さん自身の持つ他人に対する優しい目が有るように思います。
 鶴瓶さんの悪いクセという気がしてるのだけどサゲに向けて早口になっていって情感が逃げてしまう面はありますが、、、それでも大昔の落語をやらなかった「ぬかるみ」の頃からのファンとしては、落語が上手くなってきたなぁ、って思います。

 今までの「死神」は金銭欲・物欲に負けて「やっぱり」「救いようのない」ダメ男のハナシでしたから、終わった後に寂寥感というか殺伐とした気が残ったものでしたが、今回の「鶴瓶版 死神」は、ダメ男だけど女に対する愛情が有り、それは誘惑に揺れる情けなさもあるし、後先の見えない情けなさもあるけれど、終わった後には「あ〜あ」「そんなんじゃダメじゃん・・・」って主人公と一緒になって残念な心持ちになる気がします。
 今までの「死神」では見終わったときの観客の視点は死神側だと思いますが、「鶴瓶版 死神」では主人公の男の側に居た感触が残っています。

 この「鶴瓶版 死神」は後々残るかも知れないと思う。


それにしても今日は江戸落語は江戸の粋を存分に、上方落語も人情や滑稽などいかにも「それらしく」、みんな様ざまに工夫して、それが当たってた感じ。

二十四回最初から継続して通ってますが、今回はかなりいい日でした。



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