2008年11月27日

【美】第40回「日展」(日本美術展覧会) 4

ツテで招待券貰ったので久々に日展を見に。

日展01

場所は今回初めて行く国立新美術館。場所は千代田線の乃木坂からなら雨に濡れずに入館出来る仕組みになってる。六本木からなら歩いて5分らしい。
 まぁ立派な建物。

日展02

骨格剥き出しの船室のような建物で、建築家は知らないけど東京国際フォーラムに似てる。

日展もこれまでは上野だったのが今年からここに。今の「日展」になって今回が40回目、「帝展」など通算すると100回を数える日本の公設総合美術展、著名な作家も出品してるとは言え、コンクールの色彩も強く、第1科:日本画、第2科:洋画、第3科:彫刻、第4科:工芸美術、第5科:書の5部門、今回の応募点数 14,519、入賞作品数 2,349というもの凄い数の美術・芸術が一堂に会して展示されているものです。

中学生以下は無料だし(今は学校を通した手続が必要みたい)、規模のワリには昔から安かったので中学・高校時代は大阪の天王寺美術館に来た巡回展を見に行ってました。

久々に見て面白かった。

けど疲れたよ、全作品をともかく見て回り、気に入った作品だけもう一度見に回って、ザッと3時間半です(笑)。

日展03

第1科:日本画(入選数222点)

日展04

入ったばかりのトコにあったコレでまず「アートな気分」(笑)になりました。

(入賞者が記念撮影したりする関係もあり、平日で事務局の許可を得れば写真撮影は可能なのです)

日本画は全体的に落ち着いた色合いが多く雰囲気も優雅なんですが、それでも様々な「冒険」が見えます。吸い込まれそうな心象風景なんてのもあって楽しい。

第2科:洋画(入選数519点)

日展05

洋画の場合は写実的なのも多く、美人画などを見てもモデル自体が現代風だったりもして、また心象風景や抽象画など幅も広く、おそらく普通の人が見てもそこそこ楽しめるのはココじゃないかな。

第3科:彫刻(入選数137点)

(展示会場の並びは何故か第2科→第4科→第3科でしたが、記述の都合上コッチから)

日展07

彫刻の会場は一種異様です。等身大の人形が並ぶ様は壮観だし、アートな兵馬俑。
 大半が裸婦像ですから男の自分をして助平になれるかというと、とてもじゃないが無理(笑)。
 男から見たエロスの本質は「恥じらい」だと思うので、「見せる気のパンツはパンツじゃない」訳で(笑)、芸術というのは主張の塊、それもこのレベルとなると凄い迫力で何かを投げかけてきますから、気が弱いと威圧感さえ感じます。

日展08

この作品は受賞作のようですが、下半身が樹のままで何か深い顔つきの人間の姿、筒井康隆の名作短編「佇むひと」を思い出しました。

佇むひと―リリカル短篇集 (角川文庫)
佇むひと―リリカル短篇集 (角川文庫)

(作者の思いとはきっと違うでしょうけど)

第4科:工芸美術(入選数501点)

日展06

工芸芸術は基本的に職人芸、「芸術」以前の「技術」の部分が大きいからでしょう。どっしりと安定感のある「美しさ」が分かり易く圧倒的に迫ってくる感じ。きらびやかだし華やかだし単純に「欲しくなる」品も多い。

第5科:(入選数970点)

日展09

ココが一番マニアックなんじゃないでしょうか。読めない字も一杯あるし、何が何だかってのも少なくない。でも何点かは目に留まる何かに出会えたりもするもんです。

日展10
日展11

凄く単純に面白いなぁ、ってのも。

日展12

これも芸術。

おそらく多くの人は感心のある一部しか見ないでしょうし、その内の多くは自分の「習い事」の系統の人を探して見て帰るだけの様子。

でも、芸術って基本的に共通する感性が底流にあると思うから、「自分の世界」の外、それもおそらくは一定以上の上質の何かに触れられる機会って貴重だと思います。「自分の世界」だけで済ますにはモッタイナイと思うのです。

こうした作品や作者達に共通する何か、それは不十分ながら自分なりの言葉で言うとしたら、「面白がる心」みたいなの。

ここに並んだ数千の作品群、表現は内容も手法も様々ですが、少なくともそれは作者が伝えたい「何か」を伝えるのに「最もふさわしいもの」だったり「最も美しいもの」だったりするはず。

となると「美しいもの」や最善のものがこんなに様々に有ること自体がオドロキ。

そういう意味で、ともすれば「どこか」に居着きがちな自分の感性を揺さぶってくれたりもするし、少なくとも固くなったアタマを解きほぐしてくれる気がします。

日展13

画中の美人に恋してみたりね(笑)。

ただ絵画の世界には「笑顔」って少ないのね。どれほど写実的な絵画でも「笑顔」を写し留めてるモノが意外に少ないのが今回の発見でした。
 そういえばと思い返してみても、今回の作品に限ったことではなく絵画の世界に「笑顔」って少ない気がします。
 絵画と対比される写真芸術には結構「笑顔」って多いし、素人の記念写真だって無闇に「笑って」って強要するし、最近の写真じゃ「笑顔」センサーまで付いてたりしてるのにね。

むしろ「だから」なのかな?

「笑顔」って「面白がる心」にとってはありきたりで面白くないのかも知れませんね。

そんなことを気付くことが出来た今日の経験でした。

ruminn_master at 2008年11月27日 15:35 【美】第40回「日展」(日本美術展覧会)コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加


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