2009年05月12日
【楽】新しい「スター・トレック」と「宇宙大作戦」
少年時代の「宇宙大作戦」は、「正しい」とか「間違ってる」とかって一つじゃないんだって教えてくれた異文化交流のドラマ、仲間とか友情とか「みんなで力を合わせて何とかする」っていいなって思わせてくれた冒険譚、理性と人間味を抱えた人間達が葛藤し超克してみせる群像劇。
この新しいスター・トレックはそれを裏切りませんでした。

スター・トレック
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「非論理的」なことを嫌うバルカン人に親和的なトレッキーとして正確に言うならば、ジャパンプレミアの会場に招かれ、そこでの試写会に参加させてもらった最新の「スター・トレック」。
旧作のファンの目線でもう少し書き足したくなったので後日の追記です。
試写会場に軟禁(笑)されて生で見ることは人垣の隙間からでさえも叶わなかったジャパンプレミアのオープニングセレモニー。後日にLivedoorさん経由で主催者さん側から写真を使わせて貰えることになったので雰囲気だけでも。
このオープニングセレモニーは新宿コマ劇場前広場、昔は噴水のある浅い池が有ったところで、自分が学生時代は早慶戦の帰りなど酔っぱらった早大生が泳いでた場所ですが ( そんなことするから池が撤去されたんでしょうけど(笑))、そこに設けられた巨大な暗幕テントの中で行われたもの。

その中の様子は試写会場の中でもスクリーンに中継されていましたが、

暗幕テントの中はレーザー光などで神秘的な雰囲気だけど宇宙船も何も見えず(だったらしいww)。
で、イベント開始と共に、スモークの中から巨大な宇宙船が出現。

さらにそのスモークの中から、スタトレでおなじみの「転送」よろしくメインキャストと監督・プロデューサーが登場。

暗幕テントが取り払われ、新宿の街に巨大宇宙船、U.S.S.エンタープライズ号が出現。

その後マスコミ向けのフォトセッション、

そこから先は巨大宇宙船の周囲に敷かれたレッドカーペットをキャストが歩いて試写会場入りするダンドリで、ファンのサイン攻めに嫌な顔一つせずに気さくに応じるハリウッドスター達。
で、その一方で試写会に招待された客の方はというと、舞台挨拶に登場するはずのハリウッドスターの入場を「今か今か」と・・・外で盛り上がってる様子を試写会場の巨大スクリーンで延々1時間も眺めさせられた訳ですが(笑)、まぁその後で、キャストが揃っての舞台挨拶、そしてJ・J・エイブラムスの新釈「スター・トレック」の試写と続くジャパンプレミアでした。
この新釈「スター・トレック」、よくリメイク作品で危惧されるように「旧来のファンには受け入れがたいモノになるんじゃないか」という事前の心配は全くの杞憂となり、「宇宙大作戦」のファンにとっても十分満足のいく作品じゃないかと思いました。もちろん、いろんな見方や思い入れはそれぞれのファンにあるので、批判も出るかも知れませんけどね。
でも感心したなぁ。
一言で言うとすれば・・・
「違う流れの物語、でもシームレス」
違うストーリーに納得して身を委ねていたはずなのに、映画が終わった瞬間から、「あの」「宇宙大作戦」が「今から始まる」かのような感覚。
今まで見ていたストーリーが「あの」「宇宙大作戦」だったかのようなデ・ジャヴ(既視感)。
まるでメビウスの輪、クラインの壺。
(だから終わった瞬間に「お見事!」って感じで(誰も見てないのにww)思わず拍手してしまったんですけどね)
日本でのテレビ放映は1969年、アメリカでは1966年から3年間だから本国での放映がほぼ全編終了した頃合い。
関西地区ではその後再放送が10年以上途切れることが無かったように思います。小学生の頃から高校生の頃まで「絶対にどっかのチャンネルでやってる」番組でしたから。
それでもざっと30年分ぐらい引き戻されてしまいましたね。
新しく見た人には素直に「面白いSF映画」だと思いますが、旧作のファンにとってはそれ以上のいわば疑似体験をさせるような「アトラクション」です。
・スター・トレック (2009年の映画) - Wikipedia
・宇宙大作戦 - Wikipedia
・スタートレック - Wikipedia
そうした効果を惹き起こしたのは、様々な要因を上手に利用してるからで、
・BGMは同じ曲をブラッシュアップしたもの
・機械類も道具もブラッシュアップしてるけど同じもの
・記憶に残るバルカン星やバルカン人の描写を踏襲した細かさ
・「バルカンサイン」の効果的な利用
・旧作でスポックを演じたレナード・ニモイを出演させたこと
そしてこれらに加えて、何よりも役者さんに「どことなく似た人」を使って、旧作のキャラに見られた「クセ」なんかも継承させてることが大きいでしょうね。
素直に
「あ〜若い頃はこんなんだったんだろうな」
って「信じ込まされる」「だまされる」不思議な映画です。

最新版 スター・トレック ビギンズ (海外TVドラマ・マニアックスVol.4) (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
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カーク船長
・ジェームズ・T・カーク
勇気と知恵を兼ね備えた「宇宙大作戦」のヒーロー、ときには無茶とも思える大胆さや情熱を持ちながら、結構な色男のプレーボーイで、異星人に捕まった物語などでは「色仕掛け」でチャンスを作ったりもしてる隠れた「女好き」キャラでありました。決して「美男子」ってキャラでも無かったけどね。「船長」なんだから基本的にオジサンですし(笑)。
・旧作ではウィリアム・シャトナー、本作ではクリス・パイン。

顔も似てますが、スケベで喧嘩っ早いところなどキャラを踏襲してます。(そういえばカーク船長は特技が空手って設定も有ったような)
ミスタースポック
・スポック
生来が激しすぎる民族だったバルカン星人が滅亡を避けるための理性的選択として感情を捨て去り、理性的判断、論理的判断のみを貫くバルカン人。その父と日本人の母との間に生まれた混血児のスポックは理性と感情の矛盾に常に直面させられる「葛藤する人」として描かれています。
カーク船長が「ヒーロー」ならばミスタースポックは作品世界の「テーマ」なのかもと思います。
科学主任であり副長でありという理性的決断と知性では抜群の働きを示す役でありながら、仲間を思い友情を感じる自己の内面との葛藤にいつも直面するために誰よりも「人間くさい」。心の動きを台詞として説明することが許されるキャラクターなので様々な場面で「狂言回し」を演じています。
その存在を巡って物語は進行する。
・旧作ではレナード・ニモイ、本作ではザカリー・クイント。

似てますねぇ。でもって今作でもやはり「彼」を巡って物語は進行しているようです。
主役はカークなんだけど、ハナシの中心はスポックというのも「宇宙大作戦」のスタイルを踏襲していると言えます。
ドクターマッコイ
・レナード・マッコイ
ドクターマッコイというキャラは「理屈は置いておいて」って感じの「情の人」、医者というキャラとも相まって常に人間らしさが前面に出たキャラです。スポックをからかったり対立したりしながらも良き理解者でもある。カークを挟んでという感じですが良い友人関係でもある。
・旧作ではデフォレスト・ケリー、本作ではカール・アーバン。

本作でもキャラの立ち位置は変わりません。そして他のキャラは「何となく似た人を選んだのかな」と見ていたのですが、このマッコイが出てきて、特徴的な「目をむく表情」といいますかそういう演技を見たときに、監督が意図的にキャラを踏襲させているんだと気づきました。
本作は40年前に作られ、たびたび引っ張り出されながらも「昔話」の扱いに近かった「宇宙大作戦」の世界を蘇らせた召喚魔法のようなもの。
旧作のキャラを踏襲しながらも見事にその縛りからは自由になってるし、キャラクターも膨らんでいる。
続編が期待できる気がします。
ここで終わっちゃモッタイナイ(笑)。
---

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この新しいスター・トレックはそれを裏切りませんでした。

スター・トレック
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「非論理的」なことを嫌うバルカン人に親和的なトレッキーとして正確に言うならば、ジャパンプレミアの会場に招かれ、そこでの試写会に参加させてもらった最新の「スター・トレック」。
旧作のファンの目線でもう少し書き足したくなったので後日の追記です。
試写会場に軟禁(笑)されて生で見ることは人垣の隙間からでさえも叶わなかったジャパンプレミアのオープニングセレモニー。後日にLivedoorさん経由で主催者さん側から写真を使わせて貰えることになったので雰囲気だけでも。
このオープニングセレモニーは新宿コマ劇場前広場、昔は噴水のある浅い池が有ったところで、自分が学生時代は早慶戦の帰りなど酔っぱらった早大生が泳いでた場所ですが ( そんなことするから池が撤去されたんでしょうけど(笑))、そこに設けられた巨大な暗幕テントの中で行われたもの。

その中の様子は試写会場の中でもスクリーンに中継されていましたが、

暗幕テントの中はレーザー光などで神秘的な雰囲気だけど宇宙船も何も見えず(だったらしいww)。
で、イベント開始と共に、スモークの中から巨大な宇宙船が出現。

さらにそのスモークの中から、スタトレでおなじみの「転送」よろしくメインキャストと監督・プロデューサーが登場。

暗幕テントが取り払われ、新宿の街に巨大宇宙船、U.S.S.エンタープライズ号が出現。

その後マスコミ向けのフォトセッション、

そこから先は巨大宇宙船の周囲に敷かれたレッドカーペットをキャストが歩いて試写会場入りするダンドリで、ファンのサイン攻めに嫌な顔一つせずに気さくに応じるハリウッドスター達。
で、その一方で試写会に招待された客の方はというと、舞台挨拶に登場するはずのハリウッドスターの入場を「今か今か」と・・・外で盛り上がってる様子を試写会場の巨大スクリーンで延々1時間も眺めさせられた訳ですが(笑)、まぁその後で、キャストが揃っての舞台挨拶、そしてJ・J・エイブラムスの新釈「スター・トレック」の試写と続くジャパンプレミアでした。
この新釈「スター・トレック」、よくリメイク作品で危惧されるように「旧来のファンには受け入れがたいモノになるんじゃないか」という事前の心配は全くの杞憂となり、「宇宙大作戦」のファンにとっても十分満足のいく作品じゃないかと思いました。もちろん、いろんな見方や思い入れはそれぞれのファンにあるので、批判も出るかも知れませんけどね。
でも感心したなぁ。
一言で言うとすれば・・・
「違う流れの物語、でもシームレス」
違うストーリーに納得して身を委ねていたはずなのに、映画が終わった瞬間から、「あの」「宇宙大作戦」が「今から始まる」かのような感覚。
今まで見ていたストーリーが「あの」「宇宙大作戦」だったかのようなデ・ジャヴ(既視感)。
まるでメビウスの輪、クラインの壺。
(だから終わった瞬間に「お見事!」って感じで(誰も見てないのにww)思わず拍手してしまったんですけどね)
日本でのテレビ放映は1969年、アメリカでは1966年から3年間だから本国での放映がほぼ全編終了した頃合い。
関西地区ではその後再放送が10年以上途切れることが無かったように思います。小学生の頃から高校生の頃まで「絶対にどっかのチャンネルでやってる」番組でしたから。
それでもざっと30年分ぐらい引き戻されてしまいましたね。
新しく見た人には素直に「面白いSF映画」だと思いますが、旧作のファンにとってはそれ以上のいわば疑似体験をさせるような「アトラクション」です。
・スター・トレック (2009年の映画) - Wikipedia
・宇宙大作戦 - Wikipedia
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そうした効果を惹き起こしたのは、様々な要因を上手に利用してるからで、
・BGMは同じ曲をブラッシュアップしたもの
・機械類も道具もブラッシュアップしてるけど同じもの
・記憶に残るバルカン星やバルカン人の描写を踏襲した細かさ
・「バルカンサイン」の効果的な利用
・旧作でスポックを演じたレナード・ニモイを出演させたこと
そしてこれらに加えて、何よりも役者さんに「どことなく似た人」を使って、旧作のキャラに見られた「クセ」なんかも継承させてることが大きいでしょうね。
素直に
「あ〜若い頃はこんなんだったんだろうな」
って「信じ込まされる」「だまされる」不思議な映画です。

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カーク船長
・ジェームズ・T・カーク
勇気と知恵を兼ね備えた「宇宙大作戦」のヒーロー、ときには無茶とも思える大胆さや情熱を持ちながら、結構な色男のプレーボーイで、異星人に捕まった物語などでは「色仕掛け」でチャンスを作ったりもしてる隠れた「女好き」キャラでありました。決して「美男子」ってキャラでも無かったけどね。「船長」なんだから基本的にオジサンですし(笑)。
・旧作ではウィリアム・シャトナー、本作ではクリス・パイン。

顔も似てますが、スケベで喧嘩っ早いところなどキャラを踏襲してます。(そういえばカーク船長は特技が空手って設定も有ったような)
ミスタースポック
・スポック
生来が激しすぎる民族だったバルカン星人が滅亡を避けるための理性的選択として感情を捨て去り、理性的判断、論理的判断のみを貫くバルカン人。その父と日本人の母との間に生まれた混血児のスポックは理性と感情の矛盾に常に直面させられる「葛藤する人」として描かれています。
カーク船長が「ヒーロー」ならばミスタースポックは作品世界の「テーマ」なのかもと思います。
科学主任であり副長でありという理性的決断と知性では抜群の働きを示す役でありながら、仲間を思い友情を感じる自己の内面との葛藤にいつも直面するために誰よりも「人間くさい」。心の動きを台詞として説明することが許されるキャラクターなので様々な場面で「狂言回し」を演じています。
その存在を巡って物語は進行する。
・旧作ではレナード・ニモイ、本作ではザカリー・クイント。

似てますねぇ。でもって今作でもやはり「彼」を巡って物語は進行しているようです。
主役はカークなんだけど、ハナシの中心はスポックというのも「宇宙大作戦」のスタイルを踏襲していると言えます。
ドクターマッコイ
・レナード・マッコイ
ドクターマッコイというキャラは「理屈は置いておいて」って感じの「情の人」、医者というキャラとも相まって常に人間らしさが前面に出たキャラです。スポックをからかったり対立したりしながらも良き理解者でもある。カークを挟んでという感じですが良い友人関係でもある。
・旧作ではデフォレスト・ケリー、本作ではカール・アーバン。

本作でもキャラの立ち位置は変わりません。そして他のキャラは「何となく似た人を選んだのかな」と見ていたのですが、このマッコイが出てきて、特徴的な「目をむく表情」といいますかそういう演技を見たときに、監督が意図的にキャラを踏襲させているんだと気づきました。
本作は40年前に作られ、たびたび引っ張り出されながらも「昔話」の扱いに近かった「宇宙大作戦」の世界を蘇らせた召喚魔法のようなもの。
旧作のキャラを踏襲しながらも見事にその縛りからは自由になってるし、キャラクターも膨らんでいる。
続編が期待できる気がします。
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