出羽桜

2007年12月15日

【呑】居酒屋きせん(鶯谷) 4

これ以上ドコモショップを回って「万が一」希望機種を見つけても契約してる時間も無いし、上野駅のスタバの類は満席で居場所が無くなった。

ので今日のライブ会場は鶯谷、鶯谷へ移動。

まだ会場まで1時間少々有る。

駅を降りると安そうな立ち飲み屋とか結構あるし、旨そうな焼肉屋、本日開店のラーメン屋などもあったけど、なかなかコレというのが見つからない。

駅界隈を2周ほどして疲れてようやく決心。

会場の真裏の路地の突き当たりにある小綺麗な「居酒屋」さん。

(あとで判ったが25年ぐらいやってるらしい)

居酒屋 きせん

居酒屋きせん00

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なび東京


店構えは「一見さん」が独りで入って大丈夫かな?って雰囲気もあったが、店の外に掛けられたお品書きは決して高くなかったので入る決心が付いた。

店内を覗き込んだときに親父と目が遭った気がしたのもある。

美味そうな予感がしたのもある。

この手の予感は外したことが無い。

白木のカウンター、奥に10人程の座敷がひとつ。
6人程度座れるカウンターには誰も居なかった。
奥の座敷では宴会がそろそろ〆の雑炊に入ろうかという感じ。

2階を店に使ってるかどうか知らないが階段はあった。

近所の商店会の親父達が宴会に使う感じの店らしい。

カウンターの中には、いかにもヘンコな感じの「小料理屋の主人」っぽいオヤジさんが一人。

後ろのホワイトボードに並ぶメニューは「オムレツ」っての以外はほぼ魚を使った板前料理という感じ。

でもってやっぱり高くない。

生ダコや締め鯖の刺身が600円、活けの平目の刺身が700円。

他のも大体がその前後の値段だった。

「とりあえず生ビールちょうだい」

で、白子ポン酢天麩羅を頼んだ。

お通しは烏賊の塩辛

切り柚子が乗せてあって仕事してある。

程なく出て来た白子ポン酢は注文されてから茹でて温かい状態に卸ポン酢が掛けてある。

美味かったので天麩羅を心待ちにする。

この段階で不味ければ注文品を食べて「本日開店」のラーメン屋に行く所存だったが、腰を落ち着ける覚悟が出来た。

生ビールおかわり。


出て来た天麩羅は海老に穴子に茄子。塩で。

居酒屋きせん02

独りで食うには多かったけど、値段のワリには盛りがいいというレベルで文句は無い。味も悪くない。

そうこうしてる内にもう一人「一見さん」が入ってきた。

腹一杯でこれ以上生ビールはキツイので日本酒に切り替え。

何が有るかを聞くと常温は菊水、冷酒は浦霞を取り分けるか出羽桜の小瓶か。

出羽桜を見ると呑んだこと無い瓶だったのでそれにした。

瓶からして女性向きの呑みやすそうな酒だったが案の定(笑)。

出羽桜 水面音(みなもね)

居酒屋きせん03

メーカーHP
(これを見ると真夏の酒だね)
メーカー商品P
-------
水 面 音 (本生)

みなもね ほんなま    吟 醸

 「もっと手軽に吟醸酒を楽しんでほしい」 そんな想いで開発した低価格の吟醸酒。
 飲み口すいすい、 軽やかで爽やかな味わい。

日本酒度  +5(辛口)
酸   度  1.2(淡麗)
アルコール度  13.8%
使 用 米  こうじ・出羽燦々
 掛 米・美山錦
精米歩合  55%
使用酵母  小川酵母
楽しみ方  冷やして

希望小売価格
    300ml    399円 (  380円)
    720ml    977円 (  930円)
※価格は、税込価格 (本体価格)の表示
-------

やっぱ出羽燦々かぁ。

店主は「この酒、割高でねぇ」って嘆いてたがそうでもない。

仕入値が高いのか売値が高いのか(笑)。

出羽桜さんは一番最初に蔵元見学した酒蔵なんで基本的に好きなんだよね。風味的には女性向きだけど。

サクサクスイスイ飲めるお酒。
「上善」よりは味があるけどね(笑)。

軽口の冷や酒に天麩羅ってのも下品なのでもう一品。

生蛸の刺身を頼む。

居酒屋きせん01

湯引きしてあるね。やっぱ盛りがイイなぁ。

これでお勘定は4400円だったから・・・まぁ頃合いですかな。

でも独りで飲み食いするには頼むもの考えないとアレコレ食えない分量だね。

また行きます。

ruminn_master at 2007年12月15日 18:45 【呑】居酒屋きせん(鶯谷)コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加

2003年02月06日

【酒】道中道楽(水鳥版)第1回原稿より 5

道中道楽
第1回:酒の道にハマった日

今回の道友:『出羽桜』澱酒


(2003年2月6日に書いた原稿を2005年8月23日に少々手直ししました)


※注意※
 下に紹介したお店『龍馬』は現在は市ヶ谷に移転しております。


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1、もう十数年前。忘年会だか新年会だかの後。
 新宿の安居酒屋で散々飲んだ後でした。
大学の体育会系サークルの飲み会の流れ。
帰るのにはまだ少し早い。
 安い「ポン酒」に少しウンザリしてて、
何か旨い酒飲みたいなぁ、なんて何となくみんな思ってた気がする。
 でも、自分も含めて基本的には毎日酔えりゃいいなんて頃だし、金も無いし。
 歌舞伎町を抜けて新宿駅へ向かう細い道。
そう熊本ラーメン『桂花』の有る通りにその店は有る。

 「いわし料理と銘酒の店『龍馬』」 

 後輩の一人がその看板にしがみついて「飲みたい!」

 まぁ人数居たからまぁ財布かき集めれば何とか少しは飲めるかな、
ってんでみんな笑いながらエレベーターで3階へ。
 格子戸を開け暖簾をくぐる。BGMはJazz。
オヤジさんは酒蔵の前掛けしてるしオカァチャンもエプロンしてる。
店の作りは畳敷の大きな座敷も有るし、テーブル席3つにカウンター席。
ちょっと凝った程度でまぁ居酒屋なんだけど・・・
何となく美味そうな雰囲気。壁際の冷蔵庫には酒瓶が並ぶ。
3つ程の業務用冷蔵庫に並ぶ酒瓶。一つとして同じ酒が無さそうである。
 知ってる酒より見たことも聞いたこともない酒が一杯。
聞いたことはあるけど「高い」ってことも知ってる酒がたくさん。

 壁に貼ってある「今月の酒」はたしか1合700円。3種類。
それぐらいなら何とかなるだろう、ってんで席に着いた。
 今月の酒は3つとも試したんだよなぁ、たしか。
でもって肴は、
キノコおろし、カボチャのサラダ、イワシの刺身ぐらいだったかな?

で、
アレコレ店主ご夫妻と喋ってたら気に入って貰えて
「美味い酒がちょうど有るよ。高いけど」
それが出羽桜の澱酒だった。「春の淡雪」のことではない。
あんまり世間に出てないので知られてないが限定品の薄濁りが有るのである。
1合5000円とかだったと思う。貧乏学生の身には天上の酒。
でも飲みたかった。どうしてもね。

で、
1合だけ貰って4人で舐めるように確かめるように飲んだ。
美味い!気持ちいい!
 学生居酒屋の安酒に慣れた舌と鼻と喉とには正に甘露。
今思えば、この瞬間が入り口だったような気がする。酒の道のね。


2、「1年間、毎月飲みに来たら出羽桜の蔵元紹介してやる」
 たしかそんな風に言われた。貧乏学生と知っての上である。
 金があるから飲むんじゃなくて、
 酔っぱらいたいから飲むんじゃなくて、
 本当に酒が好きかどうか、旨い酒が飲みたいのかどうか、
 そんな気持ちが試されてたような気がする。

 それから本当に毎月通ったよ。貧乏学生。金貯めてね。
大体決まった4人で。金の無い時は6人とか8人とかで。
 今月の酒を各自頼んで、肴は色々。僕の定番は「キノコおろし」。
天然キノコと大根おろしの和え物。吟醸系にはこんなのが一番好き。
安いしね。
 各自の酒は互いに味見。銘柄を手帳に書き留めたりもしてた。
で、
仕上げには山形天童直送の限定手打蕎麦を出して貰ってたな。
この蕎麦がマジで美味い。

で、
最後にね、1合だけ旨い酒を、高い酒を頼むの。
それをワリカンにして少しだけを舐めるようにして味わった酒たち。
あの旨さ、ありがたみ。
「自腹で飲まなきゃ酒の味なんて覚えない」
なんて昔から言われることだけど、
本当に大事に大事に1合にも満たない酒の味を舌に身体に刻みつけてた。

 あの頃があるから酒の味覚が鍛えられた気もする。
あれから十数年、数千銘柄を口にしたけど、
今じゃ色んな酒を美味い不味いなんて気楽に口にしてしまうけど、
あの頃の感性は忘れたくないと思う。
 イイ酒にも色んな味がある。好みに合うのも合わないのも。
どれも造ってる人は真剣でしょう。イイ酒ならマトモな酒ならね
 だから大事に飲みたいね。楽しく飲みたいね。

 ともかく、1年間続けたんです。
金の無い時も有ったよ。借金して飲んだことはないけど、
何日間か何食か抜いて済ませて飲み代作って真剣に酒の味を覚えてた。


3、でね、本当に絞りの時期に出羽桜に行かせて貰ったの。
 『龍馬』(りゅうま、って読むんだよね)の店主ご夫妻の、
大将の方は元役者さん、それで全国で美味い味を覚えたんだって。
オカァチャンの方は天童の有名なオウチの人だって。
 そう、だから天童の出羽桜に本当に行かせて貰えたの。
今じゃインターネットでワリと気軽に酒蔵見学なんてやってるけど、
(でもってアチコチで酒蔵に迷惑掛けてるみたいだけどね)
当時じゃ料飲店でも酒販店でも無い一般人がなかなか行けない、
というか行けると思ってないレベルの時代。

 行きましたよ。空から雪がちらつき、足元には雪の積もった天童に。
山形県天童市。将棋の駒。人間将棋。駅前には将棋の駒のオブジェ。
そう『出羽桜』はこの町の蔵元さん。

 着くなりまずは昼飯兼ねて「水車生そば」で手打ち蕎麦体験。
「チカラじゃないって!」
そう全ての繊細な職人芸は「リキミ」が有ってはダメなんですよね。
蕎麦を捏ねるのも切るのも初心者にはどうにも上手くいかない。
 自分たちで作った不揃いな蕎麦と
本職の作った美味い蕎麦で満腹になったあと、紹介された宿へ。

 宿は「桧風呂の宿つるや」旅館。
夕食は米沢牛のスキヤキと出羽桜、
もう満腹で満足で死にそうなくらい極楽気分。
なのにさらに、
新宿『龍馬』の身内の方が差し入れて下さった酒を手に、仲間4人で檜風呂。
たかが学生がする贅沢としてこれ以上のことは無いんじゃないかって。
出羽桜大吟醸のみならずいろんなことに酔えました。

 翌朝は河北町へ。
日本で数少なくなってしまった本物の飴細工職人、槙登さんのところへ。
飴細工の体験学習です。
餅米と麦芽から作った本物の飴での細工、
下拵えして棒に付けて貰ってから手元へ。
飴をハサミで切って、色付けて、ウサギとか鳥とか作ったなぁ。
 戦中戦後に飴が無くなった時は針金細工をしてたそうです。
「結局は頭の中のものを形にするだけだから」
アートってイメージのチカラとそれを支える技術ですね。
 今では夏になると東京のコンビニでも見かけますが
冷やしラーメンなるものはここで初めて食べさせて貰いました。
元々は盆地で夏の厳しいこの地域の思いつきだったようです。
ストーブの効いた部屋で冷たいラーメンもまた美味。

 午後にいよいよ出羽桜見学。
今でこそ行程を人に講釈できる程に憶えてますが当時は初めて見るようなもの。
興味津々。蔵の中はいい香り。おっきなタンク。
麹室だけは大吟醸の作業中で見学できなかったけど、
隙間から中で霧吹きしてるのが見えました。
 タンクから流れ出てくる酒を飲ませて貰ったときの快感。
日本酒って素晴らしいものだと体感しましたね。

「お土産に何本か買いたいんですけど」
「ウチでは小売りはできないからこの並びの酒屋で・・・」

 ここで紹介されたことが、さらなる出会いに繋がるなんて、
このときは思っても見ませんでした。


4、「すいません。出羽桜さんに教えて頂いたんですが・・・」
 行った先は出羽桜の並びに有った酒屋さんで『大黒屋』さん。
 実は東北で最大級の卸問屋さんでもあるとは後で判るハナシ。

 土産に何本か買ったんだよね、出羽桜を。各自。
で、夜の9時頃の列車まで時間があるからって
「すいません。この辺りで出羽桜飲める居酒屋とか無いですか?」
「だったらウチで飲んで行きなさい」

 いや、あのですね・・・藁しべ長者か!俺たち(笑)。
ってぐらい次から次へと幸せな出会いが続きます。
 最初に家に上げて下さったのは大黒屋の女将さんだったんだけど、
そのうち大将も帰ってきて、まぁ歓待されること。
「お〜飲み切れるんなら『雪漫々』開けてやるぞ!」
 いや、あの、もう十分に頂いてます。。。
抜群に豪快な大将でした。やさしい女将さんでした。

 本当に死ぬ程に腹一杯に飲み食いさせて頂きました。
そう本当に死んでました、帰りの電車のトイレの中で。。。
(JR東北さんゴメンナサイ)

 その後もお世話になってますが、
新宿の『龍馬』さん、有り難う御座いました。
天童の大黒屋さん、有り難う御座いました。

 そして旅先で一度だけの出会いでしたが
心地よい時間を下さった皆様、本当に有り難う御座いました。
十数年を経て何ですけども、お世話になりました。


5、如何でしょうか?他人の幸せなハナシは読んでて面白くない?
 自慢話してるんじゃないんですよ。伝えたいことはそうじゃないんです。

 今回のハナシは『出羽桜』に辿り着くまでの、
で、そこから戻ってくるまでの『道中』に過ぎないようにも見えます。
 けれど、それは単に目的地までの経路ではなく、
そこに出会いがあり、楽しみがあり、歓びがあり、
それは、
僕が何かと楽しもうと思ってる『道楽者』だからこそだと思ってます。

 よく「引きの強い奴」って言われます。
運と縁と勘はイイ方だって感じてます。
いろんな人のおかげで楽しく生きさせて貰ってるんだと思ってます。

 積極的に、前向きに、
「道中を楽しむ」
そんな奴だからこそ、楽しいこともやってくるんじゃないかと僕は思います。

 いやもっと言えば、その『道中』こそが面白い。
だから「食い道楽」「飲み道楽」「旅道楽」、
そんなもの全て含んで越えて『道中道楽』。
そう考えてタイトルを付けました。

 この1本目は自己紹介も兼ねてます。
そうこんな奴です。長文駄文ですがお付き合い下さいませ。
よろしく。

------------------------------------------
<<追記>>

この龍馬さん、今はまた日暮里に移転しております。

行かなきゃ。

・ぐるなび - 長崎と山形のうまか料理 今昔庵 龍馬 http://r.gnavi.co.jp/gaju600/

・長崎と山形のうまか料理 今昔庵 龍馬 /レッツエンジョイ東京 http://www.enjoytokyo.jp/gourmet/spot/g_gaju600/

(おまけ)
東京龍馬会・第41回史跡探訪

ruminn_master at 2003年02月06日 23:00 【酒】道中道楽(水鳥版)第1回原稿よりコメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加
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