酒蔵

2007年02月11日

【酒】静岡へ『開運』酒蔵見学 5

日本酒は米と水とそして人ですな。

今日は友人に誘われて日本酒の蔵見学。
静岡の名酒開運」の土井酒造場さんへの見学ツアー。

19c仕込槽別群03.jpg


静岡の酒はファンも多いのだけど
個人的には
静岡酒特有と思う「水の主張の強さ」が量を飲むと気になる方なんです。

でも「開運」は昔から別格で好きでした。

個人的にはそんなお酒。

主催は池袋の飲み屋さん。
蛍月
店舗外観はチト怪しいクラブで(笑)
内装は日本酒バーだけど
コース料理も出す和食処でもある。
サンシャイン60通りの東急ハンズから
池袋区役所の方に3分程進んだ少し奥まったところに有るので知る人ぞ知るって感じの店かな。

何度か店にも行ってるし、随分と前に同じ主催で千葉の岩の井に伺ったので、まぁ気楽です。

ちょっと遠い場所への日帰りツアーだからか
前に岩の井に行ったときより参加者少ない目の感じ。
客が26人で店側の人が4〜5人。
それで貸し切りバス仕立てて
蔵見学に昼食弁当と麦酒とお茶、夜の宴会付で参加料15000円。

(主催者は赤字かトントンでしょう。宣伝広告費という意味合い考えてもホント有料の見学会って主催するの大変だと思うよ)

さて

朝の9時に店に集合の9時半出発。
バスは静岡へ。
01蛍月バス.jpg

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蛍月・おとなの社会科見学
〜酒蔵見学バスツアー


大人の社会科見学 第5弾!

お待たせ致しました!
酒蔵見学バスツアー第5弾!!
今回は、螢月の看板銘柄の1つ、多くの酒仙たちを虜にする、
静岡の名酒『開運』土井酒造場様へ行っちゃいますよ!

毎回ご好評頂いている、このバスツアー企画。
皆様、お誘い合わせの上、是非ご参加下さいませ!


【開 運】というお酒

明治7年(1874年)に創業したこの蔵は、蔵元の地元小貫村の発展を祈って、酒名を『開運』と名づけられたそうです。
能登杜氏が高天神城跡の湧水で仕込んでいます。
米の持ち味を活かし、爽やかな風味と軽快な口当たりの美酒を醸しています。
全国新酒鑑評会では、金賞受賞の常連蔵で、静岡県代表の蔵として、全国に知られている銘蔵です。

―記―

日 時 平成19年2月11日(日)建国記念の日
場 所 静岡県掛川市
会 費 お一人様 \15,000-
(交通費・見学費・試飲代・昼食・宴会代等全て込み)
原則として前払い制でお願い致します。
申 込 2月3日(土)迄受付

申込用紙にご記入の上、会費とともにスタッフへお渡し下さい。
※尚、キャンセルにつきましては申込時にご質問下さい。
問 合 ご不明の点は 店長牛山 又は 東田 まで
TEL 03-3981-0280
E-mail hotaruzuki@morecorp.com

当日スケジュール

9:00 集 合→池袋螢月店舗前
9:30 出 発→JTB大型バス
昼 食→バス車内で、お弁当とお飲み物をお渡し致します。
13:00 到 着→土井酒造場到着
見 学→蔵内を土井社長に案内して頂きながら、『開運』を試飲して頂きます。市販されることのない秘蔵酒も、出てくるかも?
15:00 宴 会→『開運』を飲みながら、楽しい酒盛りです!
18:00 帰 路
21:00 池袋到着後、解散
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1.『開運』蔵元、土井酒造場


東京からだと大井川を越えて
掛川の手前、
東名を菊川インターで下り、
下りてからは10分程度、
風景は結構のどかな田舎な感じ。

そこが土井酒造場です。
02土井酒造場看板a.jpg
04酒蔵入り口a.jpg
05酒蔵入り口b.jpg

到着して社長さんにご挨拶。
08社長と店長.jpg

(右側が主催の「蛍月」の店長)

入り組んだ蔵内を見学するのに全員じゃ無理とのことで、
先に見学するか、試飲するかで2班に分かれることになりました。

気分だけ考えれば、
見学してから試飲が望ましいところですけど
まぁ先に試飲する班となりました。

でも結果的にはラッキーだったのかもしれません。
(詳細は後ほど)

2.まずは試飲から


瓶詰め後に貯蔵する倉庫らしき場所で試飲。
11a利き酒開始.jpg
11b利き猪口.jpg

この利き猪口は1合入る本物サイズ。
用意していただいたお酒は8本。

で、

先発組の蔵見学の案内を社長さんが先導して行った都合で
ウチら利き酒の解説役は最初は社長の奥様だったのかな?

でもあまりにマニアックな質問が出始めたので(笑)杜氏さんを呼んで来られました。

日本を代表する名杜氏と言われる波瀬正吉杜氏の解説付きで利き酒ができたのはラッキーな経験だったと思います。

11c波瀬正吉15by.jpg
11c波瀬正吉16by.jpg

看板銘柄で
日本酒好きには有名な
この酒蔵の杜氏さんの名を冠した限定大吟醸の「波瀬正吉」。
1年寝かせたものと
絞りたて。

年間に作られる量はごく少ないのでこれだけでも貴重。

ずいぶん昔になりますが、
旅に出ない寝正月に
「波瀬正吉」の1升瓶抱えて
独り手酌酒で三賀日を過ごしたことがありました。

とっても好きなお酒。

BY(醸造年度)は7月から6月までだから
1年寝かせが15BYで、
新しいのが16BYでいいのかな。

とりあえずそう呼ぶことにしますと
絞りたての16BYは透明感が素晴らしく素晴らしいのはもちろんですが、
1年寝かせの15BYも旨味が乗ってきて好みが分かれる感じ。

斗瓶取り袋吊りは1本1本味も香りも違うそうで、このあたりは「出会いモノ」ですね。
今回のは[4-4]と書いてあり
4つめの袋搾りの4番目の斗瓶ということでしょうか。
20e搾り05.jpg

この瓶が斗瓶で、
名前からすると1斗(10升)入るんでしょうけど
もろみを袋に詰めて
圧を掛けずに
自然に雫が垂れたのだけをこの瓶に集めるのは結構大変そう。
というか
モッタイナイ&アリガタイですね(笑)。

11d開運中吟15by.jpg
11d開運中吟16by.jpg

大吟醸が35%磨き(65%は酒に使わない)なら
中吟醸は50%磨きで米の旨味が強く出ます。

強めの肴に合わせるならこの辺りが一番美味いでしょうし
酒飲みが量を飲むにもイイ感じです。

15BYと16BYの2本を較べると絞りたての16BYの方が気に入りました。

11e開運純吟15by.jpg
11e開運純吟16by.jpg

純米吟醸はさらに米の個性が強く出て来ます。
それでも純米酒ファンは多いですからね。

ぬる燗ぐらいも結構良さそう。
熱燗でも面白そう。

15BYと16BYの2本を較べると1年寝かせの15BYの方が気に入りました。

11f開運ひやづめ純米15by.jpg

夏場に限定的に出す火入れを1回にしたタイプですね。
夏場に冷やして、
なんてとこが相場なんでしょうけど、
暑い夏場の夕方なんかに常温のこんな酒も酒飲みには楽しそう、なんて思います。

11g開運本醸造16by.jpg

本醸造の絞りたてです。
ボディが強いなぁ、って印象。

やっぱトータルで「波瀬正吉」は一歩抜きんでてますが、
中吟や冷や詰めも良くて
やっぱ「開運」は美味しい酒だと思います。

3.いよいよ酒蔵へ


さてひとしきり試飲を楽しんだところで酒蔵見学。
蔵では午前中の作業の後片付けなんでしょう
蔵人さん達が忙しく働いています。
09働く人々.jpg

先発組の案内をされていた社長さんが

「僕が続けて案内すると『さっき話した』とか思って飛ばしちゃうので」

とのことで
蔵見学の案内も杜氏の波瀬正吉さんにやってもらえました。

これも思えば貴重な経験となりましたね。

さて蔵の中へ。
10蔵内へ.jpg

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(写真が多いので別ページで)続きを読む

ruminn_master at 2007年02月11日 17:08 【酒】静岡へ『開運』酒蔵見学コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加

2006年09月12日

【見】東京の酒蔵探訪その2「多満自慢」 2

午後の見学先は拝島駅が最寄りとなる「多満自慢」の石川酒造さん。

雨天だったので午前中の田村酒造さんからはタクシーで移動。
迎車料金込みで860円程度、時間にして10分足らずで到着。

最寄り駅こそ違え、共に「福生の酒蔵」であり、先の田村酒造さんとは「店内関係」(イマイチ語義がよく判らないが、創業年が田村酒造が文政5年(1822年)、石川酒造が文久3年(1863)で60年程の差があるから親子企業、暖簾分けみたいなものだろうか)とのこと。
石川酒造の歴史は文久3年(1863)9月1日(旧暦)に始まります。酒造場は、はじめは多摩川の対岸にある小川村にありました。福生村の田村酒造とは店内関係でした。明治14年(1881)になって現在の熊川の蔵を新築して、明治16年に完全に現場へ引き移りました。石川酒造の創業当時の商標名は「八重桜」でした。これは小川村の森田酒造の「八重菊」と姉妹関係を示す名前でした。大正8年(1919)に「八重梅」と改められ、昭和8年(1933)から現在の「多満自慢」を使用するようになりました。
http://www.tamajiman.com/siryo_sake.html

小雨の中タクシーを正面玄関で降りると
門を潜る前に蔵のシンボルと御対面。
060912多満自慢外観01

有る意味、この構図がこの蔵元の「今」を語っているのかも知れない。
右手前に写っているのが昔ながらの日本酒造りの釜と仕込樽。
左奥に写っているのが多分だけどビール用のタンク。

この蔵元は日本酒「多満自慢」でも金賞受賞歴が有るが、
地ビール「多摩の恵」でも金賞を取っててそちら方面でもそれなりに有名。

午前中の「嘉泉」が日本酒「だけ」に拘りつつ日本酒造りを近代化していたのと較べて、
この「多満自慢」の方は昔ながらの造りで少量を作りつつ、主力商品を日本酒から地ビールに移そうかという勢いだとか。

今回1日で2軒の酒蔵見学に行って、
酒蔵さんの姿勢の違いが如実に表れていた気がします。

先述の如く敷地内の蕎麦屋で昼食後、蔵見学開始。

入り口を入って直ぐの処の石碑が目立ちます。
060912多満自慢外観03
060912多満自慢外観06

玉川上水の分水は3本有るそうで、午前中に見たのが田村分水、これが熊川分水。

石川家はそもそも幕府に鮎を献上する家だったとかで、石川家は酒造にも初期には多摩川の水を使っていたんですね。
江戸時代、石川家は多摩川で川猟をおこない、将軍家へ鮎を上納する御用勤め、また、酒造りに多摩川水系の水を使用していました。現在は、地下150mからくみあげた地下水を酒造用の水としています。

多摩川の水は、人々に魚や水、そしてエネルギーを与えてくれました。しかし、あるときは堤防を破壊して、せっかく村人たちが開発した大事な耕地を流してしまう事もありました。熊川に住む人々は川と深くかかわりながら生きてきたのです。石川家の歴史は、多摩川の治水と利水の歴史でもあったのです。
http://www.tamajiman.com/siryo_mizu.html

その石碑の隣には大きな欅が2本。
060912多満自慢外観05
醸造蔵を直射日光から守るために古い酒蔵に巨樹は付きモノ。
そして夫婦欅として縁起物なんだとか。
注連縄が飾られています。

日本酒はまだ仕込前、ビール醸造は作業中とのことで
今回、現役の蔵の内部は見学させて頂けませんでした。
HPの「蔵見学」の項目では
「蔵の中へ御案内致します」とのことなので
時期が良ければ見せて頂けるのでしょうか?
(なんだか今はやってないような口ぶりでしたが)

とりあえず酒林の下がった立派な蔵の建物。
060912多満自慢日本酒部01

これは中がホールになっていて、
最後に案内ビデオを見せて貰って、中で試飲をさせて頂きました。

今回の見学というか案内をして貰った中で
一番ウェイトを置かれていた気がするのが
明治時代の麦酒醸造の遺産である煮沸釜。
060912多満自慢ビール部01
060912多満自慢ビール部02

4〜5人ゆったり入れそうなバスタブぐらいの大きさで
鋼鉄板の厳めしいのがいかにも明治時代の遺産です。
060912多満自慢ビール部03

醸造風景のレリーフに飾られたお堂みたいなのに守られていました。
060912多満自慢ビール部04

この蔵元さんは明治の頃に日本麦酒史の魁となった自負が強いようです。
060912多満自慢ビール部05
(ラベルは「雑蔵」2階の資料館に展示されていたもの)
石川酒造のビール商標
明治維新になると、横浜の外国人居留地や北海道でビールが造られ始め、明治10〜20年代になると、日本各地でビールが製造されるようになりました。
石川酒造では、明治21年2月からビールの釀造を開始し、6月から「日本麦酒」(英文ラベルは JAPAN BEER)の名称で近在や東京・横浜へ販売しました。製造法はドイツ式で、年間約300石のラガービールを醸造しました。しかし、まだ王冠の技術がなく、瓶が破裂し易いなどの理由で、明治23年に製造装置は売却されました。
なお、サッポロビールは明治3年から「レッドスター」、キリンビールは明治22年(当時は JAPAN BREWERY)から「麒麟」の商標を用いています。また、同年に東京府三田の日本麦酒はエビスビールを発売しました。アサヒビール(大阪麦酒)は明治25年から「旭」の商標を使用しましたが、大阪の日の出ビールに買われた石川酒造のビール商標の旭との間に、商標権をめぐって訴訟が起きました。
http://www.tamajiman.com/siryo_sake.html

案内して下さった方の口ぶりからして麦酒にウェイトを置きたいぐらいのようでした。

そうは言っても全国鑑評会の金賞受賞蔵、
受賞できるだけの醸造技術は維持しているようです。

今回は見学させては頂けませんでしたが、
昔ながらの製法で日本酒醸造をする作業場は健在とのこと。
そして
精米も自社で精米所を持ってるとのこと。
磨きを1割増やすのに数日掛かるという精米作業、
考えようによっては
醸造石高を削減したいと言ってるお蔵さんにはかなりの負担。

でもコダワリ無くして「いい酒」は出来ないと思います。

金賞受賞蔵の名声を維持するためには
米からキッチリ造り込んで
少量でも気合いを入れて造っていかなきゃならないとの心持ちも判ります。

原料からして糖分(アルコールの直接の原料)を多く含むワインと異なり、
日本酒は穀物から作るアルコール、
とっても手間が掛かるんですね。

だからこそ、ときにできる芸術品はワインを越えるのではないかと思います。
(さすがに1本ン十万円ってな無茶に高価なワインを飲んだことはないので較べきれないですが)

さて

案内コースの最後は蔵を改装したホールで広報ビデオ鑑賞。
060912多満自慢日本酒部02

樽一つ置かれてる訳でも有りませんが柱のひとつひとつに流石に歴史を感じます。

利き酒は季節限定酒2種類。
060912多満自慢日本酒部03

多満自慢 純米山廃原酒2003
 (720ml 1,230円)
多満自慢 純米大吟醸無濾過原酒 秋の慶
 (720ml 1,446円)
個性としては酒飲みに好まれる綺麗なお酒です。
山廃も山廃臭くなく、大吟醸も甘過ぎることが無い。

「昔ながらの酒造り」の作業場を見せて頂きたかったけど、
「見せたいもの」と「見たいもの」は一致しないのが世の常。

残念でしたが、また何かのご縁もあるかと思います。

これもひとつの酒蔵の在り方というものを見せて頂いたように思います。

ruminn_master at 2006年09月12日 15:30 【見】東京の酒蔵探訪その2「多満自慢」コメント(0)トラックバック(1)  このエントリーをはてなブックマークに追加
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