2006年12月19日

【思】命名センスがいいやら悪いやら 3

鋭い命名センスだけど
何だか女権論者から文句の付きそうなネーミングだなぁと。

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オス誕生のカギ、「オトコ気」遺伝子を発見
 生物はもともと女性で、男性は女性から変化して生まれた――。

 生物進化の過程でオスが誕生する鍵となった遺伝子を、日本の研究グループが世界で初めて発見した。新遺伝子は、OTOKOGI=侠気(おとこぎ)=と命名され、19日付の米科学誌カレント・バイオロジーで報告した。

 男女間で生殖する有性生殖は、性が異なる二つの細胞がくっついて遺伝子を交換する「同型配偶」から出発、その性が後に、精子を作るオスと卵子を作るメスへと進化したと考えられている。

 東大の野崎久義助教授(生物科学)らは、神奈川県内の湖で見つけた緑藻「ボルボックス」の新種の雄株から、オス特有の遺伝子OTOKOGIを発見。この遺伝子が、同型配偶するクラミドモナスという緑藻の性を分ける遺伝子から進化し、精子の核にあるたんぱく質を作ることを突き止めた。

 ボルボックスと遺伝的に近いクラミドモナスはプラスとマイナスの性があり、特定の遺伝子を持つとマイナスの性になるが、どちらがオスとメスに進化したかは不明だった。今回の研究で、性を分ける遺伝子を持たない生物がメスで、この遺伝子を後から持つようになったオスが生まれた可能性が高いことがわかった。野崎助教授は「日本人が見つけた男性に最も重要な遺伝子という意味で、侠気と名づけた」と話している。

(2006年12月19日2時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061219i501.htm
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僕自身はとってもアナクロなので
かなり大好きな言葉ですけど、
まぁ既に「侠気(おとこぎ)」なんて死語かな?

少年漫画や青年紙とかだと
やたらに乱暴で破天荒なイメージですね。

不良とかヤクザとかと一括りのイメージにされたりもして。

基本的に「楽したい、ズルしたい」で
「目的のためには手段を選ばない」みたいな。

でもそういうのって「仁」とは違うんじゃないかな、って思います。

やっぱ「仁」って言えば映画の中の高倉健さん(笑)。


「侠」

という文字が「人に挟まる」って書くが如く
結局、突き詰めると自己犠牲なんだと思います。

一時、高倉健さんのセリフで
「不器用ですから」ってのが流行ったけど
猫も杓子も誤用してる感じで

「自分は不器用なので」
→「自分の都合に合わせて下さい」

って奴が多かった気がします。

「俺のワガママ許して下さい」って感じの甘えた奴。

そうじゃなくて

「自分は不器用なので」
→(人に迷惑掛けずに自己主張できないので)
→「自分はガマンします」
ってのだと思います。

「俺がガマンしますから気にしないで下さい」みたいなの。

損得で言えば自分が損をする時にしか使っちゃイケナイ言葉。

要は「他人様に気を遣う」ってことじゃないかと。

高倉健さんの『昭和残伝』シリーズ好きだったな〜。
昭和残侠伝
昭和残侠伝 人斬り唐獅子
昭和残侠伝 死んで貰います
昭和残侠伝 破れ傘


この描かれ方自体が
「既に珍しくなった男の中の男」
だから「残」な訳です。

ガマンしてガマンして
それでもガマンして
でも、、、
どうにもしようがなくなって
守るべき弱いモノの為に自分を捨てる
みたいなカッコ良さが
アナクロな男にとってロマンティックだった訳です。

その後で
アナクロなロマンに人気が無くなって、
「強いモンが勝つ」
リアル路線がウケたのが
『仁義なき戦い』シリーズなんじゃないかな。
仁義なき戦い
仁義なき戦い 広島死闘篇
新 仁義なき戦い BOX

まぁこれはこれでピカレスク・ロマンってカッコ良さが有るんだけど。
弱肉強食の世界は
弱者に目を移せば悲劇ですから
ドラマティックですし。


そんなこんなの語感のアプローチから離れて遺伝子のハナシを考えてみます。

オスという性別が分離したのは、
つまり
有性生殖の仕組みというのは
周囲の自然的・社会的環境の変化に対して
「合わせる」ための弱い個体(オス)と
「自己を守ろうとする」丈夫な個体(メス)に役割分担し
環境変化への対応を柔軟に計ろうという
遺伝子の戦略、

弱いオスは死に、強いオスが生きる、
適者生存、
メスによる強者選択、
そういう仕組みなんだと。

自分はこの学説に是首します。


そうして考え合わせてみると
「合わせる」性、オスを決定づける遺伝子
オス特有の遺伝子OTOKOGI
というネーミングは
非常に深いところで正鵠を射ているように思います。

ただそのネーミングの土台である
侠気」という言葉が
実利優先、享楽主義、功利主義の時代で
既に死語になってしまってるのが、
これもまた非常に深いところで皮肉だなぁ、と。

そんなことを考えさせられた記事でした。
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六分の侠気 四分の熱 菅原文太と24人の男たちそして忠治
昭和、最後の任侠 ヤクザという生き方
新版・現代ヤクザのウラ知識
利己的な遺伝子
利己的な遺伝子 <増補新装版>
進化生物学への道―ドリトル先生から利己的遺伝子へ
ダーウィン・ウォーズ―遺伝子はいかにして利己的な神となったか
利己的遺伝子とは何か―DNAはエゴイスト!
利己的遺伝子で解く恋愛論―男と女の最終闘争
人間の行動と進化論―ドーキンスの利己的遺伝子説の限界とその改良


ruminn_master at 2006年12月19日 23:24 【思】命名センスがいいやら悪いやらコメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加


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