2008年03月28日
【美】生誕100年 東山魁夷展 (内覧会にて)
東京国立近代美術館で翌日から開催される美術展、その内覧会。
友人に教えて貰ってその展覧会の特設HPより応募して行くことが出来た次第。小雨模様の中でしたが、じっくりと美術品を味わえる機会だと言うことで喜んで与えられた時間一杯使って堪能してきました。
生誕100年 東山魁夷展
(東京国立近代美術館)
・東京国立近代美術館イベントページ
・展覧会特設ページ
18:00〜20:00までのイベントで、17:45から入場出来ると言うことで、ほぼ開場時間に到着して鑑賞。
注意書きと作品リストはもちろん、図録(2〜3000円する)も貰えたのは嬉しかったね(結構高いもん。図録)。
ただイヤホンガイドが無かったのは難点だったかな。
まぁ時間もあったので、気になった作品については会場内各所に置いてある販売見本の図録を拾い読みしたりなんかしてましたが(イヤホンガイドは「使う人」なんだよね、だいたいどこの美術館に行っても)。
ブロガー限定イベント、ということで、まぁ作品保護のためフラッシュ撮影禁止というのは当然としても、宮内庁所有など許可が別途必要な一部の作品以外は、作品の複写的な撮影でない限り写真撮影可能、展覧会風景としての撮影や作品を前にしての記念撮影などが許されるということで、美術館の中で大勢の人がカメラを構えてるのも少々異様な光景でした(自分もその内の一人であるという点は棚に上げるとして(笑))。
ただブロガー限定となると色々居るもので、中には携帯電話附属のカメラでという人も少なくないため、静寂な美術館の中で携帯カメラの撮影音〜パンツ盗撮防止用に無駄に五月蠅い(笑)〜が喧しいのが少々興冷めではあったかな。。。
自分もまぁコンパクトカメラなんで美術品の良さを伝えるなんてのは烏滸がましいというか無理ですが、まぁ雰囲気だけでも(内覧会参加者にはブログ掲載用に数作品の画像は配布されましたので、以下の数点の作品画像はそれによります)。
結局4周ぐらいしたかな?
普通の美術展でも2周はするんだけど、今回、最初の1周は「展覧会風景」を撮影しながらの下見程度、2周目は「展覧会風景」として絵になりそうな構図を考えつつ、3周目はカメラを仕舞って純粋に鑑賞して廻り、4周目は気に入った作品だけをじっくりと鑑賞。
数百人は居たんだろうけど大体の人は30分ぐらいで帰っちゃう感じで、自分からすると少々モッタイナイ。
だってこんなにジックリと、比較的人の少ない環境での美術品鑑賞って東京の美術展では珍しいし、東山魁夷の作品をこれだけまとめて鑑賞出来る(154点だそう)こと自体ずいぶんと珍しいと思うもん。
日本中旅行してアチコチの美術館・美術展なんかも行く方だから東山魁夷の作品はそれなりに目にしてきたつもりだけれど、イメージとしては「ぼんやりとした綺麗な風景画」でしか無かったのが正直なところ。
もともと西洋画でも印象派の「ぼんやり」した感じが嫌いだった(それは先日ルノワール展に行って考えを改めたけど)ので、少し距離を置いていたのだけど、今回じっくりと鑑賞するチャンスが貰えて、多くの作品をよくよく観察・鑑賞してみると先入観が払拭された気がする。
結構好きになれた作品も多いです。
世間的には東山魁夷の風景画の代表作らしい「道」はあんまり好きじゃないけど。
今回の展覧会、大きくは時系列に従って並べられているのでよくよく見ると変遷が判って面白かったです。
初期の頃はそれこそ「ぼんやりとした綺麗な風景画」と言っても良さそうだけど、中期というか円熟期となると同じような色合いでも何層にも細かく色彩の階層が積み重ねられているし、よくよく見ると細かい形態や陰影まで描き分けられていて吸い込まれそう。
空気の層の向こうに霞む風景で描かれている空気の分厚さ、水面に映った景色に見られる空気と水の質感の描き分けやそれぞれの深さを感じさせるような細かい筆致
そんなところが好きになれました。
「白夜光」もその中のひとつ。
そしてまた後期になるとそうした執着みたいなものが超越されてきて少し単純に「見える」ような気がした。
この展示会の最後の最後は2階に特設された唐招提寺の襖絵、第1期の鑑真が憧れ辿り着いたものの見ること叶わなかった日本の風景より「濤声」(部分)、第2期の鑑真の故郷の美景より「揚州薫風」に圧倒されます。
初日前なので青畳のイ草の香りも鮮烈だったけど(笑)、「濤声」の迫力、「揚州薫風」の単純化された水墨画のようで居て霞の奥に細部まで描かれた屋根瓦や柳の枝葉なども凄かったですね。
帰り際、図録は貰ったものの、何か気に入った作品のクリアファイルか何か買おうとして、それを選ぶのに苦労しました。気に入った作品が大判化されてない(絵葉書しかない)ってのも有ったけど、クリアファイルも数種類有ってなかなか一つに絞りきれない。4周目に見て回ったときはその選考でもありました(笑)。
青い光の中の白馬「白馬の森」
これも良かったんだけど、
青い光より緑かなと
同じ白馬シリーズでも「緑響く」の方を選びました。
特設ページに3作品の壁紙ダウンロードサービスがあります。
人によってどれが気に入るかは様々でしょうが、自分は「白夜光」が有るのが嬉しいですね。
大人で1300円とこのクラスの美術展にしては安いし、オススメです。
友人に教えて貰ってその展覧会の特設HPより応募して行くことが出来た次第。小雨模様の中でしたが、じっくりと美術品を味わえる機会だと言うことで喜んで与えられた時間一杯使って堪能してきました。
生誕100年 東山魁夷展
(東京国立近代美術館)
・東京国立近代美術館イベントページ
・展覧会特設ページ
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生誕100年 東山魁夷展
Kaii Higashiyama: A Retrospective
2008.3.29-5.18
イベント情報
会場
企画展ギャラリー・ギャラリー4
会期
2008年3月29日(土)〜5月18日(日)
会期中、展示替があります
前期:3月29日(土)〜4月20日(日)
後期:4月22日(火)〜5月18日(日)
開館時間
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
東山魁夷展会期中の木・金・土曜日は、20:00まで開館します
*入館は閉館30分前まで
休館日
4月7日(月)、14日(月)、21日(月)、5月12日(月)
観覧料
一般1300(1100/900)円、大学生900(800/600)円、高校生400(300/200)円
●いずれも消費税込、( )内は前売/20名以上の団体料金
*前売券の販売は3月28日まで
●中学生以下、障害者の方及び付添者1名は無料
*それぞれ入館の際、生徒手帳、障害者手帳等をご提示ください
●本展観覧券で、当日に限り、所蔵作品展「近代日本の美術」もご覧になれます
●とてもお得なチケット情報
2月29日までの販売
*ペアチケット 1800円
2人分の入場券がセットに。切り離して1枚ずつご利用になることも可能です
*モディリアーニ展とのセット券 2000円
国立新美術館「モディリアーニ展」(3/26〜6/9)とのセット券です
●チケット取扱
チケットぴあ(Pコード:前売687-704, 当日687-705, ペアチケット687-706, モディリアーニとのセット券687-707)、ローソンチケット(Lコード:33454, モディリアーニとのセット券39957)ほか都内主要プレイガイド
ペアチケット、モディリアーニ展とのセット券はオンラインのみでの販売となります。オンラインチケット(電子チケット)は、引換券です。そのままでは入場できないので、展覧会場入り口にて実券とお引換ください。
主催
東京国立近代美術館、日本経済新聞社
特別協賛
大和ハウス工業
協賛
日本興亜損害保険、三菱商事
特別協力
唐招提寺
展覧会ホームページ
higashiyama-kaii.com
巡回
長野県信濃美術館 東山魁夷館:
2008年7月12日(土)〜8月31日(日)
東山魁夷の生誕100年を記念する展覧会を開催します。
東山魁夷は、明治41(1908)年に生まれ、東京美術学校の研究科を修了したのち、ドイツ留学をはさんで帝展、文展に作品を発表しました。戦後になって、代表作《道》に見られるような平面的で単純化をきわめた作風へ展開し、風景画家としての独自の表現を確立しました。そして、自然や街を主題に「生」の営みをいとおしむかのように描いた作品、祈りの風景ともいえるほどに沈潜した精神的な深みをうかがわせる唐招提寺御影堂の障壁画などによって、戦後の日本画界に大きな足跡を残しました。
東山魁夷の作品は平明でわかりやすい描写のうちに、清新な抒情性と深い精神性を湛えています。それは徹底した自然観照から生まれた心象風景であり、自身の心の奥底に潜む想いの表白にほかなりません。また同時に、その作品は日本の伝統につらなりつつ、時代に生きる感覚を確かに宿しています。東山芸術が今なお多くの人々の共感を得るのはまさにそれゆえであるといえるでしょう。
本展は、東山魁夷の代表的な本制作101点、スケッチや習作53点(いずれも東京会場の出品数)を出品するものです。唐招提寺御影堂の障壁画からは《濤声》(部分)、《揚州薫風》を展示します。本展では、これらの作品を7つの章に分け、さらに5つの特集をもうけて紹介することで、ともすれば見落とされがちであった東山魁夷の画風の展開や、制作のプロセス、表現の特質などにも迫りたいと考えます。
ここが見どころ代表作が目白押しの大回顧展
東山魁夷の画業を語る上で欠かすことのできない代表作、ほとんどすべてが会場に集結します。また、今まで紹介されることの少なかった作品もあわせて会場に並びます。本制作101点、スケッチ・習作53点(いずれも東京会場の出品数)を数える大展覧会は、これまでの東山の回顧展で最大規模です。東山自身が画業の転機とみとめる《残照》、東山を一躍人気作家へと押し上げた《道》、東山作品のなかで最も人気の高い《花明り》などの重要な作品が、展示替えをおこなうことなく全会期を通して展示されることも、本展の大きな特徴です。
7章構成で東山芸術に迫る
東山魁夷の作風展開ならびに作画傾向に注目し、7章に分けて作品を紹介します。
東山芸術の確立期は、これまで自身の言述に従い《残照》を出発点とすることがほとんどでした。しかし、東山の画業初期に見られる写生を基礎におく作風は、《道》以降、簡潔な画面構成による作風へと変化します。このことに注目し、本展では第2章の始まりに《道》を据え、東山の作風展開を作品に即してたどります。
全体の章分けは編年的な区分けにとどまりません。第5章では、ともすれば自然の風景ばかりを描いたと思われがちな東山が、若い頃から折りに触れ描いていた町並みや建物を主題とする作品に注目し、その表現の特徴を探ります。
5つの特集展示
特集展示を5つ設け、多角的に東山の芸術に迫ります。5つの特集は次のとおり。特集1「ドイツ留学」、特集2「《自然と形象》と《たにま》」、特集3「白馬のいる風景」、特集4「窓」、特集5「唐招提寺の障壁画」。
白馬は全部で11頭
1972年に描かれた白馬のシリーズ。この展覧会では本制作5点、習作6点を紹介します。そのうち習作は展示替を予定していますが、一度の来館で少なくとも8頭の白馬に出会えます。
唐招提寺からはこの2点
奈良・唐招提寺の御影堂障壁画の制作は、11年あまりにも及ぶ、東山の画業における一大プロジェクトでした。制作は二期に分けられ、入念な準備のもと1975年に《山雲》(上段の間)、《濤声》(宸殿の間)が、80年に《黄山暁雲》(桜の間)、《揚州薫風》(松の間)、《桂林月宵》(梅の間)が、81年に《瑞光》(鑑真和上坐像厨子扉絵)が完成しました。この展覧会では、《濤声》の一部と《揚州薫風》を、ギャラリー4を御影堂内部に見立てて展示します。
(以上概略引用、以下省略。詳細は引用元頁御参照)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Higashiyama2008/index.html
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18:00〜20:00までのイベントで、17:45から入場出来ると言うことで、ほぼ開場時間に到着して鑑賞。
注意書きと作品リストはもちろん、図録(2〜3000円する)も貰えたのは嬉しかったね(結構高いもん。図録)。
ただイヤホンガイドが無かったのは難点だったかな。
まぁ時間もあったので、気になった作品については会場内各所に置いてある販売見本の図録を拾い読みしたりなんかしてましたが(イヤホンガイドは「使う人」なんだよね、だいたいどこの美術館に行っても)。
ブロガー限定イベント、ということで、まぁ作品保護のためフラッシュ撮影禁止というのは当然としても、宮内庁所有など許可が別途必要な一部の作品以外は、作品の複写的な撮影でない限り写真撮影可能、展覧会風景としての撮影や作品を前にしての記念撮影などが許されるということで、美術館の中で大勢の人がカメラを構えてるのも少々異様な光景でした(自分もその内の一人であるという点は棚に上げるとして(笑))。
ただブロガー限定となると色々居るもので、中には携帯電話附属のカメラでという人も少なくないため、静寂な美術館の中で携帯カメラの撮影音〜パンツ盗撮防止用に無駄に五月蠅い(笑)〜が喧しいのが少々興冷めではあったかな。。。
自分もまぁコンパクトカメラなんで美術品の良さを伝えるなんてのは烏滸がましいというか無理ですが、まぁ雰囲気だけでも(内覧会参加者にはブログ掲載用に数作品の画像は配布されましたので、以下の数点の作品画像はそれによります)。
結局4周ぐらいしたかな?
普通の美術展でも2周はするんだけど、今回、最初の1周は「展覧会風景」を撮影しながらの下見程度、2周目は「展覧会風景」として絵になりそうな構図を考えつつ、3周目はカメラを仕舞って純粋に鑑賞して廻り、4周目は気に入った作品だけをじっくりと鑑賞。
数百人は居たんだろうけど大体の人は30分ぐらいで帰っちゃう感じで、自分からすると少々モッタイナイ。
だってこんなにジックリと、比較的人の少ない環境での美術品鑑賞って東京の美術展では珍しいし、東山魁夷の作品をこれだけまとめて鑑賞出来る(154点だそう)こと自体ずいぶんと珍しいと思うもん。
日本中旅行してアチコチの美術館・美術展なんかも行く方だから東山魁夷の作品はそれなりに目にしてきたつもりだけれど、イメージとしては「ぼんやりとした綺麗な風景画」でしか無かったのが正直なところ。
もともと西洋画でも印象派の「ぼんやり」した感じが嫌いだった(それは先日ルノワール展に行って考えを改めたけど)ので、少し距離を置いていたのだけど、今回じっくりと鑑賞するチャンスが貰えて、多くの作品をよくよく観察・鑑賞してみると先入観が払拭された気がする。
結構好きになれた作品も多いです。
世間的には東山魁夷の風景画の代表作らしい「道」はあんまり好きじゃないけど。
今回の展覧会、大きくは時系列に従って並べられているのでよくよく見ると変遷が判って面白かったです。
初期の頃はそれこそ「ぼんやりとした綺麗な風景画」と言っても良さそうだけど、中期というか円熟期となると同じような色合いでも何層にも細かく色彩の階層が積み重ねられているし、よくよく見ると細かい形態や陰影まで描き分けられていて吸い込まれそう。
空気の層の向こうに霞む風景で描かれている空気の分厚さ、水面に映った景色に見られる空気と水の質感の描き分けやそれぞれの深さを感じさせるような細かい筆致
そんなところが好きになれました。
「白夜光」もその中のひとつ。
そしてまた後期になるとそうした執着みたいなものが超越されてきて少し単純に「見える」ような気がした。
この展示会の最後の最後は2階に特設された唐招提寺の襖絵、第1期の鑑真が憧れ辿り着いたものの見ること叶わなかった日本の風景より「濤声」(部分)、第2期の鑑真の故郷の美景より「揚州薫風」に圧倒されます。
初日前なので青畳のイ草の香りも鮮烈だったけど(笑)、「濤声」の迫力、「揚州薫風」の単純化された水墨画のようで居て霞の奥に細部まで描かれた屋根瓦や柳の枝葉なども凄かったですね。
帰り際、図録は貰ったものの、何か気に入った作品のクリアファイルか何か買おうとして、それを選ぶのに苦労しました。気に入った作品が大判化されてない(絵葉書しかない)ってのも有ったけど、クリアファイルも数種類有ってなかなか一つに絞りきれない。4周目に見て回ったときはその選考でもありました(笑)。
青い光の中の白馬「白馬の森」
これも良かったんだけど、
青い光より緑かなと
同じ白馬シリーズでも「緑響く」の方を選びました。
特設ページに3作品の壁紙ダウンロードサービスがあります。
人によってどれが気に入るかは様々でしょうが、自分は「白夜光」が有るのが嬉しいですね。
大人で1300円とこのクラスの美術展にしては安いし、オススメです。
ruminn_master at 2008年03月28日 19:55 【美】生誕100年 東山魁夷展 (内覧会にて)│コメント(0)│トラックバック(0)
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美術・芸術の鑑賞 | 元・写真部
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