2008年09月09日

【芸】第29回東西落語研鑽会 4

およそ2ヶ月に1回の東西落語研鑽会

夏は拡大版の「大銀座落語祭」となるので連番上は5月以来となる。

今回はこの主催の「全国落語台本コンクール」の受賞作発表も兼ねた会でしたが、少々無理矢理詰め込んだ感もある程に盛り沢山でした。

東西落語研鑽会としては「小米朝」名では最後だからでしょうか、後半は「京の噺」特集という趣向で、それも面白かったです。
第29回東西落語研鑽会

会 場 有楽町よみうりホール
 (ビックカメラ 7F)
日 時 2008年9月9日(火)
 午後6時00分開場 6時30分開演
木戸銭  3,800円(全席指定)
 (当日 4,000円)
主 催 六 人 の 会

[第二十九回番組]------------
舟 弁 慶 」 桂 まん我
かんしゃく」 橘家圓太郎
「出てきて!お父さん」柳家喬太郎
【全国落語台本コンクール表彰式】
<仲入り>
〜〜京の噺特集〜〜
祇 園 祭 」 林家正蔵
池 田 屋 」 春風亭小朝
愛 宕 山 」 桂 小米朝

    お囃子 千葉しん社中
        大川貴子社中
----------------------------
[参考]
上方落語メモ【世紀末亭】
落語のあらすじ 千字寄席
---
落語検索エンジン「ご隠居」
東西落語特選
招笑亭
落語の舞台を歩く
落語インデックス

最初は上方落語から「船弁慶」、といっても船遊び以前で切る奴で、よくあるパターンの短い目。
 まん我さん、演じ分けも上手いし早口言葉みたいなこのネタでテンポ良く口開けの役を果たしてました。

2番目は江戸落語、といっても時代設定が大正時代ぐらいなので新作ってことなんでしょう、「かんしゃく」。圓太郎さんの「かんしゃく持ち」社長はなかなか「いかにも」感が有りますな。被害者(奥様とか)の描写がもっと細かい方が好きだけど。

3番目は今回のコンクールの受賞作。超新作。
 ここ3回、何故か主催の「六人の会」が演じない。3回連続口演となる柳家喬太郎さんもまずは「お決まりのそのグチ」から入ります(笑)。
 今回のコンクール、最優秀賞も優秀賞も無し、で佳作が2本。
公募情報、全国落語台本コンクール


全国落語台本コンクール 7/31〆切
ジャンル 落語台本
枚数 規定なし
概要 落語台本 (形式、時代設定、プロ、アマを問わずオリジナル未発表の作品に限る。二重投稿は不可。1人1作。)
応募規定 A4ワープロ原稿が望ましい。枚数、用紙等は自由。表紙に題名、氏名、住所、年齢、職業、電話等を明記。
応募資格 不問
賞金 大賞:50万円 優秀賞:30万円 佳作:20万円
発表 9月、入賞者に通知
選考委員
主催者 六人の会
応募先 〒110-0003 東京都台東区根岸2−10−12 
ねぎし事務所 全国落語台本コンクール 
http://www.joa.co.jp/

公募情報、全国落語台本コンクール

 演じられなかった方、他方の佳作は大阪弁の上方落語ということで演者となる喬太郎師匠は別な方を選んだとのことですが、その「2/3の嘘」は吉本の漫才師2丁拳銃小堀裕之さんの作。仕事が入ってたとのことで奥さんが子供2人連れて代わりに受け取りに来られました。芸人の嫁ということでなかなか(何故か?)舞台度胸も有る感じ。

 演じられたのはその内の1本、「出てきて!お父さん」、作者の木下真之さんはどうやら落語会の常連さんらしく、柳家喬太郎師匠とも旧知の間柄の様子。
 新作なのでこれからどのように変わるか分からない噺、下手にアラスジを書いてネタバレになっても無粋なので大雑把に言えば、父親が出社拒否の引き籠もりになった子供の担任が家庭訪問してのドタバタ。
 細かいクスグリやらは喬太郎師匠の創作っぽい、そうすると筋書き的には時代風刺ではあるけど理屈っぽいかな、という感じで笑いにくいし伝わりにくい。
 たしかに優秀賞ではなくて佳作どまりかもと。

仲入り後は何故かの説明も無く、「京都の噺」特集。

最初はこぶ平(笑)の「祇園祭」。どうも関西人なので林家正蔵という名前にも林家三平という人気者にも興味が無いせいか、純粋に「芸」として見てしまいますが・・・・たしかに昔より上手くなったとは思うのですけど・・・何というか・・・演じ分けの幅が狭いなぁと。京都弁の間延びした柔らかい「いやらしさ」みたいなのが言葉には出なくて、でも見た目はどっちかというと粋な江戸っ子ってよりはそっちに近く、でも単純に単にエキセントリックな嫌な京都人としか見えなくて、他方で江戸っ子が啖呵切ってまくし立てるところでは格好良さが見えなくて、なんだかイジメられた子供がスネてるみたいにしか見えなくて。。。たぶん見た目で損をしてるんでしょうけどねぇ。
 今回特に後ろに続く2人が達者だったから余計に荒が目立ったと言うことなんでしょうけど、何か工夫が欲しい。
 あと、このネタ、江戸囃子と祇園囃子をクチ真似で演じ分けなければならないんですが、早口言葉みたいな口達者さは有るんだけど音楽に聞こえない。。。下座音楽に愛着とかが無いのかな。好きな人なら身体の底から浮き立つような感じが滲み出る気がするんですけど。
 ただ、表彰式の地のトークは軽妙で出たり入ったりもいいバランスでなかなか面白いのですから、「自分なり」がいい方に出る時が来れば化けるかもしれませんね。少しずつ色が出て来てますし。

次が小朝の「池田屋」
 講談みたいなネタをマクラも無しに始めて、どうなるかと思ったら笑わせるところはチャンと作るし、時代もキャラも自由自在に操ってお見事な一編。春風亭の十八番らしく「いかにも」聞かせてくれました。

大トリは小米朝、もうすぐ米團治襲名ですから、そろそろ「小米朝」名では見納めということですね。米朝一門に限ったことでは有りませんが、今回の「愛宕山」も「枝雀さん」が見えてしまいますね。
 大旦那、舞妓に芸妓に幇間、茶店の婆と演じ分けの多いネタ、幇間2人の演じ分けや茶店の婆の細かいトコロなどは「枝雀さんの方が・・・」とは思ってしまうものの、その分、大旦那の貫禄は有って、掛け合いの面白さから意地の張り合いの滑稽さみたいな方にシフトしてる独自の味が有る気がします。


今回は表彰式も有るのに6ネタ、それもあまり短いとは言い難いようなのが多く、贅沢に面白い会でした。

<渉猟中に見つけた気になるページ>
週刊 落maga Vol.207 2008.9.19 [まぐまぐ!]
古今東西: 親と子 師匠と弟子
山葵的日常: 上方寄席囃子 林家トミの記録

特に「師匠と弟子」はエエハナシや。。。

ruminn_master at 2008年09月09日 21:40 【芸】第29回東西落語研鑽会コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加


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