2008年10月29日

【本】絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想 4

近くの図書館で何となく目に付いて借りて帰ってきた本。

予想外に面白かったけど、最後まで読んだらコレはコレで疑って読むべき部分も有って、また別の機会にもうちょっと調べてみようとは思った。

絵解き ルソーの哲学 ― 社会を毒する呪詛の思想

絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想
絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想

本書は、日本の教師や知識人の多くが左翼がかっていてルソーを肯定する足場から出発しているとの見識から、ルソーの哲学の胡散臭さを糾弾し、アンチテーゼを呈示したような本。

渡部昇一が監訳。高校時代に「Big Tomorrow」を読んでたので渡部昇一の文章はよく目にしてたけど、クリスチャンで保守派の大学教授といえばいいかな。

たしかに右だの左だのという問題じゃなく、ルソーって肯定的に書かれた文章を目にしてきて、その問題性に触れた本を読んだことがなかったので結構新鮮でした。

大雑把に言えば、不幸な生い立ちの頭の良い男が、社会に受け入れられないという感覚を心理的に合理化するために頭を使って「世の中が悪い」と逆転の発想、そんなところが「人間不平等起源論」で、さらに人間は現代(近代)社会に毒されなければ本性として他者との軋轢など生じない「はず」なのに、自分が社会と軋轢を生じるのは全ての人が(自分も含めて)毒されているからだ、そんな理屈で「理想の教育」を論じたのが「エミール」だったり。

で晩年、社会とますます上手くいかなくなってその破滅的思索を小説化したのが「告白」だったり。

どうやら人気の一端には太宰治人気みたいなものもありそうですな。

もっと大雑把に言えば結構「人間のクズ」っぽいのだけど、たまたま詩的センスや文章力に優れていた感じ。

まぁこの本を読んだ素直な受け止め方だとそんな感想になりますかな。

ただまぁそのうちもうちょっと反対の立場のも読まなきゃね、とは思うけどね。

それでも、今までこういうスタンスの本に出会ったことがなかったという意味で結構貴重な出会いでありました。

いい刺激になった。

ruminn_master at 2008年10月29日 15:26 【本】絵解き ルソーの哲学―社会を毒する呪詛の思想コメント(0)トラックバック(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加


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