2009年11月16日
【映】笑う警官
予想していたよりも面白かった、というのが正直なところ。
でもって松田優作から薬師丸ひろ子・渡辺典子・原田知世なんてところの角川映画にガキの頃にドップリ染まってた身には、久々の「角川春樹の映画」でした。
壮大なスペクタクルシーンもなく、広大な情景を映すでもなく、ただひたすらに人間の内面を掘り下げるような物語、テレビの2時間ドラマでも作品になり得るシナリオだけど、音楽が効果的に使われていてスケール感を生み出していたように思います。
そこもいかにも角川春樹なんだよね。
本作ではホイットニー・ヒューストンの主題歌と全編の鍵になるサックスの音色が効いていました。
アイ・ルック・トゥ・ユー
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エンタメ路線の当時の角川映画の中でも、とりわけ中身らしい中身の無いPVやイメージビデオみたいな映画の代表作、「汚れた英雄」はローズマリー・バトラーのテーマソングの響きが全てだったものなぁ。
でも本作はそれよりははるかに中身の濃いドラマチックな作品だったと思います。
先月の「映画の日」の放映事故で貰った年内一杯の丸の内TOEI鑑賞券。
その後、年内一杯の上映スケジュールを見るに、趣味に合わない宗教映画や妙にヘビーな映画などが多かったので、特に見たい映画というわけではなかったのだけど、これにしました。
笑う警官
・公式サイト
佐々木譲のベストセラーミステリーの映画化です。
笑う警官 (ハルキ文庫)
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「ハルキ文庫」ってのは角川春樹が角川書店本体から抜けてから作った出版社ですな。
笑う警官 (マンサンQコミックス)
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小学生の頃からクイーンだとかクリスティだとかの海外ミステリーを愛読してた自分からすると、このタイトルで有名なミステリーは、むしろこっちの方。
笑う警官 (角川文庫 赤 520-2)
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この海外ミステリーは海外ミステリーで、その昔に ウォルター・マッソー主演の「マシンガン・パニック」として映画化もされています。
(この映画も、たしか中学生の頃に見たけど、本作とは全然違うハナシ、どっちかというとサイコ犯人系のミステリーだったはず。)
佐々木譲の「笑う警官」は、なんでも、この海外ミステリーに対するオマージュと言うことで書かれたものだそう。
この映画の原作は読んでいませんでしたし、特に好きな女優も俳優も出ていなかったのだけど、シナリオが深く、キチンと伏線を示す演出は丁寧で、知らず知らずに画面に惹き込まれて、ほぼ24時間程度の出来事をリアルタイムに錯覚体感させるかのような近年流行の手法も活きて、かなり楽しめました。
若いのでクサイ芝居は数人居たけど(笑)、脇を固める俳優が見事に芸達者だしね。
今月の映画の日に見た「沈まぬ太陽」といい「組織の中の弾圧vs.青臭い個人」の構図が最近は受けるのかな?
自分は「青臭く生きる」のがモットーの自由人だから構図としては趣味に合うけど、世間の大半の人はサラリーマンで、本作の中の台詞で言えば「朱に交われば赤くなる」で「染まってしまう人」のハズ。
企業に「染まる」ことが幸せを保証できた景気の良い時代には浮かび上がってこなかった疑念や不満に光を当てて、でも時代劇のような単純な勧善懲悪でも、若き日の少年漫画のような「正義が勝つ」でもないエンディングは、そういう人々に「まぁ現実はしょうがないんだよね」と赦しのカタルシスを与えているのかも、なんてことも思います。
個人的にはスッキリしないんだよね(笑)、最近のこの手の映画。
でも芝居としては上質な映画でした。
でもって松田優作から薬師丸ひろ子・渡辺典子・原田知世なんてところの角川映画にガキの頃にドップリ染まってた身には、久々の「角川春樹の映画」でした。
壮大なスペクタクルシーンもなく、広大な情景を映すでもなく、ただひたすらに人間の内面を掘り下げるような物語、テレビの2時間ドラマでも作品になり得るシナリオだけど、音楽が効果的に使われていてスケール感を生み出していたように思います。
そこもいかにも角川春樹なんだよね。
本作ではホイットニー・ヒューストンの主題歌と全編の鍵になるサックスの音色が効いていました。
アイ・ルック・トゥ・ユー
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エンタメ路線の当時の角川映画の中でも、とりわけ中身らしい中身の無いPVやイメージビデオみたいな映画の代表作、「汚れた英雄」はローズマリー・バトラーのテーマソングの響きが全てだったものなぁ。
でも本作はそれよりははるかに中身の濃いドラマチックな作品だったと思います。
先月の「映画の日」の放映事故で貰った年内一杯の丸の内TOEI鑑賞券。
その後、年内一杯の上映スケジュールを見るに、趣味に合わない宗教映画や妙にヘビーな映画などが多かったので、特に見たい映画というわけではなかったのだけど、これにしました。
笑う警官
・公式サイト
佐々木譲のベストセラーミステリーの映画化です。
笑う警官 (ハルキ文庫)
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「ハルキ文庫」ってのは角川春樹が角川書店本体から抜けてから作った出版社ですな。
笑う警官 (マンサンQコミックス)
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小学生の頃からクイーンだとかクリスティだとかの海外ミステリーを愛読してた自分からすると、このタイトルで有名なミステリーは、むしろこっちの方。
笑う警官 (角川文庫 赤 520-2)
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この海外ミステリーは海外ミステリーで、その昔に ウォルター・マッソー主演の「マシンガン・パニック」として映画化もされています。
(この映画も、たしか中学生の頃に見たけど、本作とは全然違うハナシ、どっちかというとサイコ犯人系のミステリーだったはず。)
佐々木譲の「笑う警官」は、なんでも、この海外ミステリーに対するオマージュと言うことで書かれたものだそう。
この映画の原作は読んでいませんでしたし、特に好きな女優も俳優も出ていなかったのだけど、シナリオが深く、キチンと伏線を示す演出は丁寧で、知らず知らずに画面に惹き込まれて、ほぼ24時間程度の出来事をリアルタイムに錯覚体感させるかのような近年流行の手法も活きて、かなり楽しめました。
若いのでクサイ芝居は数人居たけど(笑)、脇を固める俳優が見事に芸達者だしね。
今月の映画の日に見た「沈まぬ太陽」といい「組織の中の弾圧vs.青臭い個人」の構図が最近は受けるのかな?
自分は「青臭く生きる」のがモットーの自由人だから構図としては趣味に合うけど、世間の大半の人はサラリーマンで、本作の中の台詞で言えば「朱に交われば赤くなる」で「染まってしまう人」のハズ。
企業に「染まる」ことが幸せを保証できた景気の良い時代には浮かび上がってこなかった疑念や不満に光を当てて、でも時代劇のような単純な勧善懲悪でも、若き日の少年漫画のような「正義が勝つ」でもないエンディングは、そういう人々に「まぁ現実はしょうがないんだよね」と赦しのカタルシスを与えているのかも、なんてことも思います。
個人的にはスッキリしないんだよね(笑)、最近のこの手の映画。
でも芝居としては上質な映画でした。