2010年02月14日
【見】ANAエンジン整備工場見学
午前中の【見】ANA機体整備工場見学に続いて、午後はかなりレアな飛行機のエンジン整備の現場が見学させて貰えました。
ANAエンジンメンテナンスセンター・エンジン整備工場見学編。

酒を介して知り合って20年ほどのツキアイだけどツーショット写真なんか撮ったのは初めてだ(笑)。
ANA(全日空)の飛行機のエンジンを整備しているANA Engine Servicesで働く友人にずいぶん前から頼んでたのが、ようやく友人枠も出来たとのことでteam原動機の「ファミリー見学会」に混ぜて貰えました。
この見学会は、機体整備工場の見学会がほぼ毎日1日4回行われているのと違って、かなりのレアもので、ANAカード会員限定イベントとしてのたまに行われる見学会か、特別なイベントでも無い限りは一般公開はしてないみたい。
まぁレアな機械やチタンの塊とかがアチコチに一杯あって、そんなのになると小さなタービンブレード1枚で自動車1台ぐらい買えるそうだから変な奴とか傍若無人なマニアとかが来られると安心できない(笑)だろうしねぇ。

それに、たしかに「誰が見ても面白い」って訳でも無いかもね。
最低限自動車のエンジンの仕組みが判っていて、メカ好きで、構造とかのハナシ自体が結構好きで、というタイプじゃ無いと多分ワケワカランもん。古典的な「男の子」(笑)なら何となく判る、どころか絶対カッコイイと思えるから大丈夫です。

どこもかしこも「メカ」の香りがプンプンしてますから(笑)。

ジェット飛行機は羽ばたけません(笑)ので、ジェットエンジンで飛んでます。いわば心臓部。
そんな飛行機のエンジンを機体から外して、このメンテナンスビルに運び込み、分解、洗浄、それからブラックライトだの三次元計測器だのを使って徹底的な検査、異常が見つかれば修理・部品交換などして、改めて組み立て、そして試運転をパスしてようやく機体に戻される。
その大事なところが行われてるこの施設は、偶然なのか意図的なのか、全長にして戦艦大和とほぼ同じ長さだそう。


この「ファミリー見学会」の面白いところは見学してる人々の中にこの工場の各所それぞれの専門分野の人が居るということ。
飛行機のエンジン整備は各分野の専門技術者が協力して行うものですから案内の人だって何から何まで分かってる訳では有りません。

そこでそれぞれの場所に来ると「●●さん説明お願いします」って感じで、それまで普通のお父さん・お母さんに見えてた人が急に「プロフェッショナル」に変身するのが凄くて、側で見てるととても興味深い。

自分は友達に案内して貰ってるだけですが、子供達にはきっとお父さん・お母さんが働くカッコイイ背中が見えたはず。素敵な瞬間がアチコチで垣間見えました。
そう、自分にとっては工場見学であり社会科見学ですが、この子供達にとっては「お父さん・お母さんの仕事を知る機会」なんですな。

そして
社会科見学・工場見学として見ても「男の子」には面白いと思います。
ジェットエンジンって炎と空気を使うモノだから「力強さ」と「流れ」があって美しいしね。


高温下で高速回転するファンのブレードに重さの偏りが有ると無駄も生じるし壊れやすくなるから付された数字はその調整のためのものらしい。何枚有るのか知らんけど素人から見ると気の遠くなる手間が1台のエンジンがマトモに動くまでに掛かってるんですな。
門外漢の自分に判ってる限り、思い出せる限り、そのつもりで写真を並べるので少々の間違いはお許しアレ。
まず先の内軸を取り巻く外套部分かな。どうやらエンジンの細いところだから圧縮空気を作る部分でしょうか。

次にその次の燃料の流入管部分。燃焼室辺りかな。

大雑把に言えば飛行機のジェットエンジン(ターボファンエンジン)は自動車の単気筒エンジンみたいなのが一杯集まって推進ファンを回して、そこから得たエネルギーの一部をまた自動車で言うターボユニット(過給器)に回して加速してというサイクルで高出力を得ている。
元来エンジンは燃料と空気を混ぜて着火して小爆発させてそのエネルギーを取り出す訳で、ジェットエンジン全体からするとその「小さなエンジン」は個々に単細胞エンジンのようなもので、それが一杯集まって一緒にタービンを回す。
そのタービンがメインのプロペラ(ファンブレード)を回して、その内の8割を推力に、2割をエンジンに繋がる圧縮機(これもメインのファンブレードと同じ軸で回されてるプロペラの集まり)に送り込んで密度30倍以上とかいう圧縮空気を作り、そこから高濃度の混合気を作って着火、その爆風がタービンを回して極めて高い回転力をまたメインのプロペラに返す。他方でその排気ガスも推力に回す。
その循環サイクルの繰り返しからジェット気流を噴流して飛んでると。
大雑把過ぎるかな?(笑)
正確なことは↓こんなトコで。
・燃焼科学−バーチャルラボラトリ(東邦大学 メディアネットセンター)
・ジェットエンジン - Wikipedia
・航空機のエンジン
・ジェットエンジンのしくみ 岩手大学
・ジェットエンジン | 技術百科 | IHIイズム

「アクセサリーギアボックス」とかいうユニットでエンジンオイルの供給機や電気を取り出す発電機などが組み込まれた部分。
絡み合うコードが生き物みたいです。

工場の並びからするとタービンブレードの部分かな。抜けてるところは交換のため取り外されてるブレードということですな。
半ばまで組み上がったところをタービンブレードの側、つまり後ろから見るとこんな感じ。

空気の流れで後ろに有るのがタービンブレード、前に有るのがファンブレード。

整備中のファンブレード。空気取り入れ口側に付いてる一番大きなプロペラ。これで直接に推力の80%となる風を生み出すんだからゴツイわね。

スピンナー。飛行機のエンジンを前から見た時にファンの真ん中に付いてるコーンで流入する空気を整流する働きだそう。
真ん中の白い渦巻きは「鳥除け」だそうですが、最近ではその効果が疑問視されてるとか。
組み上げられると↓こんな感じ。




「カッコイイ」って思える貴方は(古典的)「男の子」のセンス有りです(笑)。
そうこんな↓子供達みたいな。

工場の出口近くになると綺麗に洗浄され磨き上げられ丁寧に調整されたエンジンは細部まで光り輝いてます。
細かく見ると点検用の小窓やベアリング破損などの生じやすいトラブルを容易にチェックできる仕組みがアチコチにあって、今目の当たりにしているこんな徹底的なオーバーホールではなく、それ以前のレベルの点検でも基本的な安全性は十分に確保できるようになってるんですな。
そりゃ大勢の人の命を預かる仕事だものね。

それにまぁ毎日こんな分解点検してたら人手はもちろん、エンジンが幾つ有っても足りないものね。ちなみに貰ったパンフレットに載ってたエンジン1基の価格は17億円(PW-4000)だそう。
飛行機1機は240億円(B777-300)。


美しいよね。設計としての機能美はもちろんですが、油と煤で汚れた状態で入ってきて、ココを出る時にはこんなに光り輝いてるんだもん。人の仕事の気持ちの良い成果。

そうそう、このエンジンを吊り下げているハンガーみたいな奴、「マルチトリプルガータ」とか言って整備効率を高める自慢の機械だそうです。

案内してくれた人が自慢してましたから(笑)。

午前中の機体整備工場見学は機体の大きさと美しさに感心した時間でしたが、午後のエンジン整備工場はそれもあるけど(男の子マニアックには(笑))、大人の知的好奇心をくすぐられる違ったタイプの面白い見学会でした。
久々に社会科見学で充実かな。しばらく行ってなかったからね。
ANAエンジンメンテナンスセンター・エンジン整備工場見学編。

酒を介して知り合って20年ほどのツキアイだけどツーショット写真なんか撮ったのは初めてだ(笑)。
ANA(全日空)の飛行機のエンジンを整備しているANA Engine Servicesで働く友人にずいぶん前から頼んでたのが、ようやく友人枠も出来たとのことでteam原動機の「ファミリー見学会」に混ぜて貰えました。
この見学会は、機体整備工場の見学会がほぼ毎日1日4回行われているのと違って、かなりのレアもので、ANAカード会員限定イベントとしてのたまに行われる見学会か、特別なイベントでも無い限りは一般公開はしてないみたい。
まぁレアな機械やチタンの塊とかがアチコチに一杯あって、そんなのになると小さなタービンブレード1枚で自動車1台ぐらい買えるそうだから変な奴とか傍若無人なマニアとかが来られると安心できない(笑)だろうしねぇ。

それに、たしかに「誰が見ても面白い」って訳でも無いかもね。
最低限自動車のエンジンの仕組みが判っていて、メカ好きで、構造とかのハナシ自体が結構好きで、というタイプじゃ無いと多分ワケワカランもん。古典的な「男の子」(笑)なら何となく判る、どころか絶対カッコイイと思えるから大丈夫です。

どこもかしこも「メカ」の香りがプンプンしてますから(笑)。

ジェット飛行機は羽ばたけません(笑)ので、ジェットエンジンで飛んでます。いわば心臓部。
そんな飛行機のエンジンを機体から外して、このメンテナンスビルに運び込み、分解、洗浄、それからブラックライトだの三次元計測器だのを使って徹底的な検査、異常が見つかれば修理・部品交換などして、改めて組み立て、そして試運転をパスしてようやく機体に戻される。
その大事なところが行われてるこの施設は、偶然なのか意図的なのか、全長にして戦艦大和とほぼ同じ長さだそう。


この「ファミリー見学会」の面白いところは見学してる人々の中にこの工場の各所それぞれの専門分野の人が居るということ。
飛行機のエンジン整備は各分野の専門技術者が協力して行うものですから案内の人だって何から何まで分かってる訳では有りません。

そこでそれぞれの場所に来ると「●●さん説明お願いします」って感じで、それまで普通のお父さん・お母さんに見えてた人が急に「プロフェッショナル」に変身するのが凄くて、側で見てるととても興味深い。

自分は友達に案内して貰ってるだけですが、子供達にはきっとお父さん・お母さんが働くカッコイイ背中が見えたはず。素敵な瞬間がアチコチで垣間見えました。
そう、自分にとっては工場見学であり社会科見学ですが、この子供達にとっては「お父さん・お母さんの仕事を知る機会」なんですな。

そして
社会科見学・工場見学として見ても「男の子」には面白いと思います。
ジェットエンジンって炎と空気を使うモノだから「力強さ」と「流れ」があって美しいしね。


高温下で高速回転するファンのブレードに重さの偏りが有ると無駄も生じるし壊れやすくなるから付された数字はその調整のためのものらしい。何枚有るのか知らんけど素人から見ると気の遠くなる手間が1台のエンジンがマトモに動くまでに掛かってるんですな。
門外漢の自分に判ってる限り、思い出せる限り、そのつもりで写真を並べるので少々の間違いはお許しアレ。
まず先の内軸を取り巻く外套部分かな。どうやらエンジンの細いところだから圧縮空気を作る部分でしょうか。

次にその次の燃料の流入管部分。燃焼室辺りかな。

大雑把に言えば飛行機のジェットエンジン(ターボファンエンジン)は自動車の単気筒エンジンみたいなのが一杯集まって推進ファンを回して、そこから得たエネルギーの一部をまた自動車で言うターボユニット(過給器)に回して加速してというサイクルで高出力を得ている。
元来エンジンは燃料と空気を混ぜて着火して小爆発させてそのエネルギーを取り出す訳で、ジェットエンジン全体からするとその「小さなエンジン」は個々に単細胞エンジンのようなもので、それが一杯集まって一緒にタービンを回す。
そのタービンがメインのプロペラ(ファンブレード)を回して、その内の8割を推力に、2割をエンジンに繋がる圧縮機(これもメインのファンブレードと同じ軸で回されてるプロペラの集まり)に送り込んで密度30倍以上とかいう圧縮空気を作り、そこから高濃度の混合気を作って着火、その爆風がタービンを回して極めて高い回転力をまたメインのプロペラに返す。他方でその排気ガスも推力に回す。
その循環サイクルの繰り返しからジェット気流を噴流して飛んでると。
大雑把過ぎるかな?(笑)
正確なことは↓こんなトコで。
・燃焼科学−バーチャルラボラトリ(東邦大学 メディアネットセンター)
・ジェットエンジン - Wikipedia
・航空機のエンジン
・ジェットエンジンのしくみ 岩手大学
・ジェットエンジン | 技術百科 | IHIイズム

「アクセサリーギアボックス」とかいうユニットでエンジンオイルの供給機や電気を取り出す発電機などが組み込まれた部分。
絡み合うコードが生き物みたいです。

工場の並びからするとタービンブレードの部分かな。抜けてるところは交換のため取り外されてるブレードということですな。
半ばまで組み上がったところをタービンブレードの側、つまり後ろから見るとこんな感じ。

空気の流れで後ろに有るのがタービンブレード、前に有るのがファンブレード。

整備中のファンブレード。空気取り入れ口側に付いてる一番大きなプロペラ。これで直接に推力の80%となる風を生み出すんだからゴツイわね。

スピンナー。飛行機のエンジンを前から見た時にファンの真ん中に付いてるコーンで流入する空気を整流する働きだそう。
真ん中の白い渦巻きは「鳥除け」だそうですが、最近ではその効果が疑問視されてるとか。
組み上げられると↓こんな感じ。




「カッコイイ」って思える貴方は(古典的)「男の子」のセンス有りです(笑)。
そうこんな↓子供達みたいな。

工場の出口近くになると綺麗に洗浄され磨き上げられ丁寧に調整されたエンジンは細部まで光り輝いてます。
細かく見ると点検用の小窓やベアリング破損などの生じやすいトラブルを容易にチェックできる仕組みがアチコチにあって、今目の当たりにしているこんな徹底的なオーバーホールではなく、それ以前のレベルの点検でも基本的な安全性は十分に確保できるようになってるんですな。
そりゃ大勢の人の命を預かる仕事だものね。

それにまぁ毎日こんな分解点検してたら人手はもちろん、エンジンが幾つ有っても足りないものね。ちなみに貰ったパンフレットに載ってたエンジン1基の価格は17億円(PW-4000)だそう。
飛行機1機は240億円(B777-300)。


美しいよね。設計としての機能美はもちろんですが、油と煤で汚れた状態で入ってきて、ココを出る時にはこんなに光り輝いてるんだもん。人の仕事の気持ちの良い成果。

そうそう、このエンジンを吊り下げているハンガーみたいな奴、「マルチトリプルガータ」とか言って整備効率を高める自慢の機械だそうです。

案内してくれた人が自慢してましたから(笑)。

午前中の機体整備工場見学は機体の大きさと美しさに感心した時間でしたが、午後のエンジン整備工場はそれもあるけど(男の子マニアックには(笑))、大人の知的好奇心をくすぐられる違ったタイプの面白い見学会でした。
久々に社会科見学で充実かな。しばらく行ってなかったからね。
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コメント一覧
1. Posted by たすく 2010年02月16日 22:39
初めての2ショット写真(笑)
普段人なんか撮らず酒や食べ物ばかりだったしね。
何はともあれお疲れさまでした。
こうやって見ると、マニアックな写真ばかりだなぁ。
普段人なんか撮らず酒や食べ物ばかりだったしね。
何はともあれお疲れさまでした。
こうやって見ると、マニアックな写真ばかりだなぁ。
2. Posted by るみん 2010年02月16日 23:29
いやいや面白かったよ〜ありがとう。
まぁある意味ラーメンだって日本酒だってマニアック(笑)。
酒の旨さは写真じゃ伝わらんけど、メカの輝きぐらいは絵になるから見てる人からしたらむしろマシかもよ(笑)。
まぁある意味ラーメンだって日本酒だってマニアック(笑)。
酒の旨さは写真じゃ伝わらんけど、メカの輝きぐらいは絵になるから見てる人からしたらむしろマシかもよ(笑)。
3. Posted by ジロン 2010年02月19日 18:59
うわー、すげー
エンジンの斜め横でVR撮りたいなぁ!!
エンジンの斜め横でVR撮りたいなぁ!!
4. Posted by るみん 2010年02月19日 20:14
でしょ!(笑)造形として美しいのは組み上がった最後だけ、あるいは個々の部品細部だけではあるけどね。要は作業自体は掃除してるんだから。
今回は無理矢理混ぜて貰ったから拡張できんかったけど全日空のエンジン部門はHPからして他部門よりアートだからVRを企画として持ち込めば乗るかもよ。
飛行機自体も含めてデカイものはVR向きではあるしね。
今回は無理矢理混ぜて貰ったから拡張できんかったけど全日空のエンジン部門はHPからして他部門よりアートだからVRを企画として持ち込めば乗るかもよ。
飛行機自体も含めてデカイものはVR向きではあるしね。